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　　第9話


　　　　　　空side





「空、ありがとね？」



　　　　部屋に帰ったら優花姉がいた。



「え？なにが？」



「ん？いや、咲の事」



　　　---別に優花姉のためじゃないさ---


　　　
　　　まぁ、そんな捻くれた事、命の恩人には言えないけど。


　　　
　　　まぁ、これについてはまた後程




「ううん、俺がそうしたかっただけ」



「そっか…それでも、ありがと。咲、寂しそうだったから」


　　優花姉、それを言うなら今の優花姉もだよ。


　　なんか、ね？必死な顔してる。


　　弱さを隠すような・・・。


　　
「まぁ、それもそのはずだったかな？あたしが最近そっけなく



　接してたから…」



「咲の…ためを思って？」




　　　そういうと優花姉は少しはにかんだ。



　　　ああ、そうなんだ。それは優花姉の「あたり」の


　　　　
　　　サイン




「さすが、空だね。何でも分かるんだ」



「それを言うなら優花姉だよ。俺や…咲の事


　
　全部知ってる」




　　　　…。




「咲が落ち着いて嬉しい。これで後ろめたさなく会えるね」




　　　え？



「帰ってくるんだって、美央。咲の…」




　　美央、ああ、知ってるよ。





「もう、言わないで」




「うん、わかった。そうよね。辛くなるだけだもん。



　だから、ね？良かったなって・・・」





　　　それだけ言うと、優花姉は出て行った。



　　　一人にしてくれたのだろうか？



　　　まあ、いいや



　　　美央・・・か。



















『美央、ごめんね？こんなことになって』



『ううん、大丈夫。』



『もし、何かあったらお母さんに言うのよ？』




『うん…』




　　　　
　　　　家族、また一人



　　　　　新しい家族、佐伯　美央




　　　　　　　また、すがすがしい気持ちで会えますように。