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第一話

　目の前は、真っ暗だった。
　何も見えない。

「……」
「大丈夫ですか？」
「……」
「大丈夫ですか？」

　声が聞こえる。
　ギリシアは、ゆっくりと目を開いた。
　視界に入ったのは、太陽光を浴びて白く濁る空気、緑色の綺麗な葉をつけた木々や所々に咲く花や鬱陶しいほど生えている草だった。
　そして、青色の神にパープルのような紫色の瞳で羽帽子を被った少年である。　

「……ここは」
「オリュンポス山ですよ、ギリシアさん」
「ギリシア……？それ、私の名前ですか？」
「まあ、そんなところです」

　目の前の少年は、にこりと微笑む。
　ギリシアは、怪訝そうに尋ねた。

「アンタは……？」
「僕は、伝令の神、ヘルメスです」