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Re: 絶対神道ギリシアちゃん【第五話完成】【参照100】 ( No.35 )
日時: 2011/09/05 13:28
名前: 王翔  (ID: sCAj955N)

第六話




 部屋に残されたギリシアは、首をかしげて難しい表情をしていた。

「大変なことって、何なんでしょう?」

 考えても、何も思い浮かばない。
 まあ、出なければいいんですよね?
 そう思い、ギリシアは適当に時間を潰すことにした。
 しばらく部屋のなかを物色したが、何もなかった。 ヒマ潰しに使えそうな物は一切なく、ショボンとした。

「何なんですか……。本ぐらい、あったっていいじゃないですか!」

 こんなことなら、先程ヘルメスに必要な物はないかと聞かれた時に言えば良かったと後悔した。
 とりあえず、ベッドで横になり、昼寝でもしようかと試みた。
 綿のようにふわふわのベッドで気持ち良かったが、眠気は襲って来なかった。

「ダメだ……。眠れない」

 気になることが多すぎて、眠ろうにも眠れない。
 むくりと起き上がる。

「か、かくなる上は……外に出てみますか! ……ダメだとは、言われましたけど早めに戻ってくればバレないでしょう」

 


         
             ★



 そんなわけで、ギリシアは外に出た。
 山の頂上とは聞いていたが、周囲が雲に囲まれていた。相当な高さらしい。
 雲が多すぎて地上の様子を伺うことは一切できない。
 周囲の雲は神秘的な雰囲気をかもし出してはいたが、見晴らしがいいとは言えない状態であった。
 
「うお……、すごいです。何なんですか、これ」
「ギリシアさん」

 背後から声が聞こえ、恐る恐る振り向いた。

「ヘルメスじゃないですか……」
「外に出ちゃダメだって、言ったばかりじゃないですか」
「何でですか? つまんないですよ」

 ギリシアが、ほっぺをプクプク膨らませるのに対し、ヘルメスは困ったような顔になる。

「それは──」

 言いかけたところで、黒い羽が生え、紅い目をギラギラと輝かせる獅子のような化け物が現れた。
 
「ひええええ!? ままま守ってくださいコノヤロー!」

 ギリシアは、すぐさまヘルメスの後ろに隠れてガクガクと震えていた。

「この通りですよ」

 化け物は、ヘルメスの姿を見るとゆっくりと去った。
 何が何だか分からず、ギリシアは首を傾げた。

「まあ、ああゆうのがいますから。ギリシアさんって意外と恐がりですよね?」
「アンタ、バカですか!? あんなの誰だって恐がりますよ!」

 ところで、アレは何だったんでしょうか?