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第二話


「フルメス？」
「いえ、ヘルメスです」
「あ、そうですか……すみません」
「いえいえ」

　ヘルメスは、にこっと笑う。
　綺麗な羽帽子の羽が風になびく。

「大丈夫ですか、ギリシアさん？」
「はい……大丈夫です」
「では、行きましょうか」
「え？」

　ギリシアは、思わず首を傾げた。
　行くってどこに？
　全く、記憶がない。
　このヘルメスは知り合いなんだろうか。

「私、何も覚えてないんですけど」
「無理もありませんよ」

　ヘルメスは、にこやかにはっきりと告げた。

「あなたは、生まれたばかりなんですから」
「え……意味が理解できないのですが」
「大丈夫です、行きましょう」

　ヘルメスは、ギリシアの腕を引いた。
　わけが分からず、ギリシアは頭のなかに大量のハテナマークを飛び交わせた。

「歓迎します、ギリシアさん」
「いや、あの……」
　
　私、何者？
　生まれたばかりって、このサイズで!?