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第八話



　
　朝、神殿内も明るく照らされていた。
　ギリシアは大広間でつっ立っている。
　椅子に腰掛けるゼウスに何気なく話かける。

「あの……ゼウスさんは、全知全能の神なんですよね？」
「そうだけど。何なら、一つだけ願い叶えてやろうか？　何でもできるから言ってみろ」

　自信ありげに言うゼウスに対し、ギリシアは何かを決意したように口を開きかけた。
　しかし、遮られる形となった。

「あ、胸を大きくしたりはできないからな」
「何も言ってないですよ!?」

　言おうとしてたけど……。
　何で分かったんですか？

「じゃあ──」
「言い方変えてもできないからな」
「じゃ、スタイルをナイ」
「さらに変えてもダメだからな？」
「な、何でですかーーーーーー！　全知全能の神じゃないんですか！」」

　憤慨するギリシアに対し、ゼウスは椅子にもたれかかりつつ口を開く。

「ぺたんこの方が似合ってるから」
「そんな理由で叶えてもらえないんですか……」
「何してるんですか？」

　大広間にヘルメスが、入って来て不思議そうに首をかしげる。
　流石に胸を大きくしてもらおうとして却下されたとは言い難かった。
　
「何でもないですよー……」
「ヘルメス、どうした？」
「あ、今から死者の道案内に行って来ます」
「道案内？」
「はい。死者を冥府まで」
「私も行っていいですか？」
「いいですけど、恐がらないでくださいよ？」
「恐がらないですよ!?」