コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 絶対神道ギリシアちゃん【参照200突破】 ( No.59 )
日時: 2011/09/02 19:39
名前: 王翔  (ID: V9.d7PSD)
参照: http://ameblo.jp/686-7777/

第九話



 漆黒の闇が空を覆い尽し、月の美しさがいっそう際立つなか、ギリシアはヘルメスに続き、とある川の前に来ていた。
 穢れを寄せ付けない、神秘的な輝きを放つ川は静かに流れていた。
 ギリシアは、難しそうな表情で首を傾げる。

「ここ、何ですか?」
「ちょっと待ててね。もう少しで来るから」
「来る?」

 もう一度、川の方へ目を向けた。
 青白い光に包まれた、人影が向こう岸から川の上を歩いて来る。
 長い髪の女性だった。
 だが、青白い光に包まれていることから普通の人間とは言い難い。
 
「ひえ!?」

 ギリシアは、ヘルメスの後ろに隠れる。
 それに対して、ヘルメスはにこりと微笑み、歩き出す。

「ちょっ……、放っていかないでください!」
「放って行ったりしませんよ」

 ヘルメスにしがみつくと、振り向いてみる。
 女性は、ゆっくりとした足取りでついて来ている。
 
「あれが、死者ですよ。別に何もして来ませんから、あんまり恐がらないであげてください」
「わ、わかった……」

 大きな谷の間を歩き続け、やがて紫色の雲気が立ち込める世界に辿りつく。

「ここが、冥府ですか……」
「はい」

 女性は、すうっと空気に溶け込むように消えていった。
 ヘルメスは、ギリシアに向き直る。

「さて、案内も終わりましたし、帰りましょう」