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Re: 絶対神道ギリシアちゃん【参照200突破】 ( No.62 )
日時: 2011/09/03 11:41
名前: 王翔  (ID: 2Ybq3x/E)

第十話



 神殿に戻ると、大広間でヘルメスとギリシアはゼウスに報告をしていた。
 報告が終わり、大広間を出ようと二人が踵を返した時だった。
 反対側の扉が勢い良く開き、一人の緑色の長い髪に、紅蓮のような紅い瞳に、白いドレスのような衣装を纏う少女が、怒りをあらわにした表情形相でツカツカと早足で歩き、ゼウスの前に立つ。

「あれ、誰ですか?」

 ギリシアは、小声でヘルメスに尋ねた。
 苦笑気味にヘルメスは答える。

「ヘラ様ですよ。えーと、一応……ゼウス様の奥様なんですよ」
「ホントですか!?」

 ヘラは、顔に怒りマークが浮かんできそうなほど、むすっとした表情でゼウスに問いかける。

「今日は何人と浮気したの?」

 その言葉に、ギリシアは驚くしかなかった。
 浮気、ぐらいならあるかもしれないが、何人というのは異常だ。
 一日に複数人と浮気をしているということだ。
 ゼウスは、苦笑しながら返答する。

「七人ぐらいだ。これぐらい、いいだろ?」
「これぐらいってレベルじゃないわよ!? 何でそんなに浮気するのよ! 私の何が不満なの!?」
「悪かったって」

 全く反省していなさそうな様子で告げるゼウス。
 この様子を見てると、きっとまた浮気するだろうな、とギリシアは容易に想像できた。

「もう知らない」

 ヘラは、ぷくっと頬を膨らませる。
 こちらに気づいたらしく、歩み寄って来る。

「あなたは……ギリシアさん?」
「は、はい。私がギリシアです」
「そう、よろしくね」

 ヘラは、女神のような……いや、実際に女神であるから、女神の笑みを浮かべた。
 綺麗な人だな……。
 素直にそう思った。

「あれ? こんなに綺麗な人がお嫁さんなら、ゼウスさんが浮気する理由が分かんないです……」
「分からなくて大丈夫ですよ」

 ヘルメスは、困ったような表情で言い、さらに付け加える。

「あと、その手の話はギリシアさんにはまだ早いです」
「私、子供じゃないですよ……」