コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:  ( See You )  ( No.17 )
日時: 2011/08/12 09:19
名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: opLc/10u)



野球部の最後の試合。
別に僕の中学の野球部が強いわけじゃないけど、今年は運良く県大会に進み、最後の決勝戦だった。
ここまで勝ち残れたのは奇跡だろうと、先生や監督は口をそろえて言った。でも、僕たちはそれなりにきちんと練習していたし、その成果が実ってうれしかった。

ピッチャーとしては、ここまでやってこれたことは本当に悔いはない。

負けてもいい、そう言われた。
よく1人でここまで投げたな、先生に言われた。

今は試合が始まる前。僕はちょっと時間が合ったので、ウォーミングアップをしたあとに歩いていた。
そのとき、僕が歩いていた先には、

「あ、青田さん」
僕が呼ぶと、青田さんは僕のほうを向いて笑った。
青田さんは多分応援だろう、黄色のメガホンをもってたっていた。

「やっほー。北野君。調子はどう?」
と笑いながら手を振った。
「んー微妙かなあ」
「そうなんだ、でも大丈夫だよ。北野君なら」
そうやって言いながら屈託のない太陽のような笑みを見せた。
まぶしいくらいに明るい白いセーラー服が似合っていて、僕は目を細めてしまった。

「……不安なんだ」
僕がそういうと、青田さんは「どうして?」とたずねた。
「ここで終わったら、きっともう何もできなくなりそうで」
「そんなもんじゃないの? 一生懸命にやったからここで終わったら悲しいし、寂しいし、何も手につかなくなっちゃうんじゃない? でも、きっとここまでやってきたことを誇りに思って、前に進まなきゃって思う日がくるんだと思うよ」

そういうと、僕は心がスッと軽くなったような気がした。気がしただけかもしれないけど。

「あ、ほら、監督呼んでるよ? 行かなきゃ」
そうやって僕の背中をとんっと押した。
「あ、うん。ありがとう。青田さん」

そういうと青田さんはまた太陽のような笑みを浮かべて、ピースサインをした。
僕も青田さんと同じようにピースサインをして、監督が呼ぶほうへ走っていった。


( 愛する君にピースサイン )