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Re:  ( See You )  ( No.18 )
日時: 2011/08/12 10:39
名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: opLc/10u)



私は早朝の電車に乗っている。
早朝というのは何時? と聞かれたら困るけど、私のなかでは5時だ。

5時の電車に乗ってどこに行くの? と聞かれたら学校と答える。
私の通っている高校は片道2時間かかる。でも私はどうしてもその高校がよく通っているのだ。

毎朝走って駅に着いて、朝もやの中1両だけの電車がホームに滑ってくる。
私一人だけかと思っていたけど、春にある男の子がホームに立っていた。私と同じ制服で、真新しいパリッとしたブレザーに身を包んだ男の子が居た。

一目ぼれなんて信じない太刀だったけど、このときばかりはその子のかっこよさっていうか、芯の強さに惹かれた。

「おはよう」
私が電車を待っている男の子に話かけた。
私は思わず自分で驚いた、こんなにもすんなりとおはようっていう言葉が自分の口から滑っていったのに。
どちらかというと引っ込み思案であんまり自分から話しかけないからともかく自分から出た言葉にあせったのだ。
「あ、おはよう」
男の子は少しあわてながらも返事をしてくれた。

ドキン、っていうのはなんかおかしいかもしれないけど、確かにそうやって心臓が跳ねた気がした。
真っ黒の無造作な髪の毛、大きな真っ黒な瞳、すらりと伸びた背、そして硬そうな肩。全部全部知らない人なのになぜか、ああこの人だって思った。

「信条高校?」
「え、あ。うん」
そっか、と男の子は言った。

初めての出会い、朝もやのなか赤色のローカル鉄道と言われるものが私たちの感動的な出会いを無視してホームに滑り込んできた。




( 早朝鉄道 )