コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 憂鬱スター ! ( No.22 )
- 日時: 2011/08/15 18:20
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: opLc/10u)
僕の好きな人は、というか気になっている人は本屋さんでバイトをしている。
少しだけ分厚いめがね、でもレンズ越しの大きな瞳、さらさらの髪の毛で結ってあるポニーテール。
いつ思いを伝えようかと思い、早半年。
名札には「岡野」と書かれている。岡野さんかあ、と思いながら僕は関係のない参考書をめくった。
岡野さんは高校生らしい、なぜかというと、一回だけ街で岡野さんを見たことあるからだ、普通科に通っているらしく、カッターシャツに紺のスカートという女子高校生の格好をして友達としゃべっていた。
そのときはコンタクトをしており、そのめがねのない岡野さんにもときめいた。僕、気持ち悪いな。かなり。
今日も僕は本屋さんに向かう。
その途中で、岡野さんらしきひとが駅の改札口で困っていた。
岡野さんだ、と思い駆け寄る。
こっちは岡野さんとわかっても、相手は何も知らないな、と思い、無難に「どうかしましたか?」と聞くと岡野さんはぱっと顔をあげた。
「あ、えっと……さっき定期落としちゃって」
と岡野さんは不安げな表情で僕に言った。
「そっか、どこで落としたとかわかる?」
「それが、気づいたら無くって……」
岡野さんにだいたいの定期の特徴を聞いて僕も一緒に探すことになった。
ピンク色のウサギ柄の定期いれ……なんとも岡野さんらしい愛らしい定期いきれだなと思いながら、探した。
「あ、」
僕が声をもらす。僕の視線の先にはコインロッカーとコインロッカーの間に落ちているピンク色の定期入れだ。
「ありましたよ! 岡野さん!」
と僕が大きな声を出すと、岡野さんが僕のほうに駆け寄ってきて「よかったあ」と声を洩らした。
「本当にありがとうございます、本当に。これでバイトに行けます! あと、さっき思ったんですが何で私の名前知ってるんですか?」
うわあ、やってしまった! と思ったころには遅く、岡野さんは聞いてきた。
「えっと、あの、そのよく本屋さん行くんですけど……その岡野さんそこでバイトしてますよね? よく見かけるし、ネームプレートで名前見えたから……」
としどろもどろで言い分けぽいことをすると岡野さんはクスクスと笑い。
「やっぱり、そうでしたか。山口さん」
「……え? 何で?」
「本の予約したときに、名前かかれましたよね? だからです」
と岡野さんはいたずらぽく笑った。
「こんな出会いですけど、よければ一緒に本屋さんまで行きませんか? 私と山口さんの本の趣味は似ているようです」
と岡野さんからの誘いを受け、男として不覚だが、岡野さんの後ろを黙ってついっていった。
( 本屋さんの彼女 )