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Re:  ( See You )  ( No.3 )
日時: 2011/07/23 11:32
名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: xzitYG6X)



 

 いろんなことがあったね、そうだね。楽しかったね。
 そんな言葉が飛び交うクラス会。
 正直言って私はあんまりノリ気じゃなかった、中学3年は確かに楽しかったけど、足早に過ぎてしまってあまり記憶にない。

 私は市外の進学校という枠付けにある高校に合格し、毎日大変ながらも充実した日々を送っている。 
 私がぼーっとしながら配られた100パーセントのオレンジジュースを啜っていると、部活のエナメルカバンを提げた男の子が「ごめん」と言って入ってきた。

 水色のワイシャツがまぶしく光っていて、私は思わず目を細めた。
 上村昭だ。
 上村は私と3年生の最後に隣の席になり、仲良くなった。でも、上村は市内の部活動で有名な商業高校に入った。そして強豪と言われるバスケ部に入り、活躍してると風のうわさで聞いた。

 上村がごめんごめんといろんな子に謝りながら、私のほうにきた。
 私はびっくりして、パッと目を反らすと上村が「松山!」と言って私のほうにどんどん近づいてきた。

 上村の背は少しだけ伸びて、髪の毛も伸びて、ふんわりと香る男の子のにおい、中学とは違う上村に心が苦しくなった。
 「久しぶり、元気?」
 と私が問うと、上村は重たそうなエナメルバッグを下ろして、「うん。元気だよ」とはにかみながら言った。
 
 そして、近くにあった私と同じ100パーセントのオレンジジュースを手にとり一気に飲んで、ふうと息を吐いた。

 「本当に久しぶりだなー……。みんな変わってない」
 「そうかな? 上村は結構変わった気がする」
 上村は不思議そうな顔をして、そうかな、と首を触った。
 その小さなしぐさは昔と変わっていなく、ああ変わってないなーと先ほど言った言葉を撤回したくなった。

 「……あのさ、今度バスケの試合出るんだ」
 「え? 一年生で? すごいじゃん!」
 「うん、うれしい。あ、でよければさ、その……松山見にこない?」
 私から顔を少しだけそらして上村は言った。

 私はその上村の表情がかわいくて、愛しく思えて。
 
 「行くから、見に行くから。がんばってね」


 そう私が言うと、上村は中学のときと変わらない飛び切りの笑顔を私に向けた。


 ( 始まり )