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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 憂鬱スター ! ( No.32 )
- 日時: 2011/08/16 19:45
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: opLc/10u)
彼女と一緒に歩いてた。
もう空が橙色になり、ふんわりと香るどこかの家庭の夕食のにおいが僕のおなかをすかせた。
町の電気屋の前を通ったときに彼女が飾ってあるテレビを見た。
「佐久間って言う苗字かっこいいよね」
ぽそりと彼女が言った。そして僕のほうに目をむけ輝いている瞳で真剣に「佐久間っていう苗字になりたいな!」と言った。
僕はふぅんと間抜けな声を出しながら彼女の見ているテレビを見た。
佐久間という苗字は政治家だった。なんかいろいろ言っているけど佐久間と言う苗字がどこがいいのかはよくわからないけど……佐久間か。
「佐久間か……」
と僕がちょっとだけ不機嫌そうな口調で言うと彼女はくすくす笑って。僕の手を強く握った。
「ねえ、よしくん。さっき佐久間がいいって言ったけど、一番は佐藤がいいなあ」
「あーそういう殺し文句やめてくれる? 恥ずかしい」
と僕が顔を隠すと彼女はふふと笑って、僕の手を強く引いた。
「佐藤里香にしてください」
「僕らまだ高校1年生だよ?」
「そんな未来を否定するようなこと言わないでよ」
「ごめん」
と僕が素直に謝ると彼女はうんと言った。
「佐藤里香かあー……。なんか普通だけど幸せになりそう名前」
「佐久間里香と何が違うの?」
僕が首をかしげると彼女はむっとした顔をして、
「苗字が違うんだよ!」
( 苗字 )
佐久間さんには申し訳ない…
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