コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 憂鬱スター ! ( No.41 )
- 日時: 2011/08/21 18:37
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: opLc/10u)
「先生? 私、先生のことが好きなんです」
何、言ってるの。私。落ち着いて……。
白衣の先生はうっすらと霞む。サラサラと先生の短い髪の毛が揺れる。
「……そうか、でも生徒との恋愛はできないんだ」
——え、と思って目を開けた。朝日が薄いカーテンからもれている。
そして夢、と気づくまでに時間がかかった。カチカチと時計の音が部屋に響く中、やっと夢と言う考えに落ち着きベッドから出た。
やけにリアルな夢だったな、と思いながら私はパリパリの白いワイシャツに腕を通した。
最悪な夢だなとイコールでつないでおく。ねずみ色のスカートを履いて、朝食が待っているキッチンへと向かった。
私の好きな先生は化学の先生だ。
ピシィとした白衣、まっすぐとした瞳、短い黒髪……ルックスも大きいけど、私が泣いていたときに理由を親身になって聞いてくれた。
こんなことで私は恋に落ちてしまうほど単純な女なんだなと思いながらも、半年も片思いをしている。
同級生にひどいことを言われた、一生懸命がんばっていたことを否定された、その瞬間に私は人を信じなくなり、教室を出た。
どこかわからない教室に閉じこまり、泣いた。とまらない涙。
急に扉が開いたもんだから私はびっくりして、顔を上げた。
「……誰だ?」
ああ、松田先生だ。ここは科学準備室かと同時に思った。
「安本。どうした?」
そのやさしい声に涙がまた溢れた。もうとまらなかった。先生がきて、白衣綺麗だぞ、といいなぜか先生は白衣で涙をぬぐうことを薦めてきた。
私はもう目の前にある布に顔をうずめて、喚いた。
そして先生は、大丈夫だと言って私の頭に手を置いた。
私が落ち着くまで先生は立っていて、白衣を貸してくれた。
「そっか、わかった。
同級生はお前を攻めれば物事がうまく行くと考えたのかもしれないな。
でも俺はお前が一生懸命やったことを否定したことは許せないことだ。だからお前が一生懸命やっていることでその同級生を見返してやれ。お前ならできる」
その一言にどれだけ救われたか。
先生の白衣はもうビショビショだった。
( 先生の白衣 1 )