コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 憂鬱スター ! ( No.43 )
- 日時: 2011/08/23 16:20
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: opLc/10u)
今日も化学準備室プリントを運んでいる最中だった。
松田先生が廊下の隅で携帯を出して、話していた。
でも私が見たときには、携帯を閉じて白衣のポケットにしまっていた。
私が科学準備室の扉を開けると、松田先生はいつもどおりの席で今日はパソコンを開いていた。
「プリントです」
先生はパソコンの画面を見ながらだが「ありがとう」と言った。
先ほどの先生の携帯が気になり聞いてみた。
「……先生、さっき誰とお話していたんですか?」
私がそう聞くと先生はパソコンをパタンと閉じて、私のほうを見た。
そして頭をかきながら、んー?とうなった。
「あ、いえ、別に……」
「いや、いいよ。見られちゃってたかー」
先生は苦笑いしながら私を見ながら言った。
「婚約者だよ。来月結婚するんだ」
疑いたくなるような言葉が私に飛んできた。耳を疑った。
「え……」
思わず漏れたその言葉は私の本音だったのだろう。
松田先生は苦笑いしながらも幸せそうな顔だった……。
ふんわりと香るイチゴのにおいに心が苦しくなった。
「誰にも言うなよ、生徒に言ったのは安本が最初だから」
そんな特別扱いいらなかった、私は先生、松田先生の隣にいたいのに。
私は胸が苦しくなった、うまくうまく息ができなくなった。
「……おめでとうございます。幸せになってくださいね」
嘘みたいな言葉がするりと口から出た。
びっくりした、私はこんなにも大人で、うまく自分の感情を隠せるんだと思った。
知らない間に先生を好きになって、知らない間に先生に失恋をしていた。
もっと、もっと大人になったらうまく気持ちを整理できたかもしれない、でも思ったよりも私はまだ子供で。自分の気持ちを隠すことしかできなかった。
科学準備室を出ると、涙がこぼれた。痛いな、胸が。
あふれ出す涙を止める方法なんてわからない。
先生の白衣のあの白色が懐かしくなった、先生。
間違いなく先生のことが好きで、先生の白衣、イチゴ、全部全部愛していた。
( 先生の白衣3 )