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Re: 憂鬱スター !  ( No.46 )
日時: 2011/08/27 16:14
名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: tar6yAGP)





8月が終わり9月になり学校が始まった。
私がいつもどおりに自分の席に座って、彼が来るのを待っていた。
「また、新学期にな」と彼は言った。そしてどこか私はその言葉を信じて、また彼としゃべることを楽しみにしていた。

でも彼は来なかった。
そして教壇にあがった先生は思いもよらない言葉を私たちに言った。
「竹中は先週引っ越した。だから9月からは別の中学に通うことになった」
あまりにも事務的で機械的に述べた先生は「じゃあ始業式はじまるから、廊下に並べ」と言った。


ああ、竹中君は居ないんだ。
私の好きな竹中君はもうここには居ないんだ。
そう思うのに時間はかからなく、そして彼が居ない寂しさに胸が苦しくなった。

無造作な短髪、真っ黒な瞳、まだ男の子だけどどこか芯のもった竹中君。私はそんな竹中君のことが好きだった。
無邪気に笑って、私のことを呼ぶ竹中君が好きだった。
ぽたりと冷たそうな廊下に私の涙が落ちた。セーラー服が湿っていく感じがする。

「……千春」
私のことを後ろから呼ぶ声が聞こえた。私が後ろを向くと美代が居た。
そして、私の手にぽんと紙を乗せた。
「え?」
私が聞くと美代は笑って。
「竹中君が、渡してって。私、竹中君に会ったの、そんで千春にこれ渡してって、家に行ったけどいなかったから」

そういうと美代は私後ろだからと言って後ろに行き並んだ。


「2年後の春、そっちに戻ります。待っててください。竹中」
そんな不器用な文字がちいさな紙に書かれていた。とっさに書いたのだろうか、涙がいっそうあふれた。
竹中君、私ね、伝えたいことたくさんあるの。


「……竹中君」

その声が届き、近い将来笑っていることを私は信じようと思った。


( 中学2年生の恋愛 )