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Re: 憂鬱スター !  ( No.50 )
日時: 2011/08/28 18:52
名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: tar6yAGP)




「またね」
「うん。また」
電車のホームで彼女が言った。またね、を強くするところが愛しい。
僕は東京の大学に通うことになり、早4ヶ月。
初めての夏季休学ということで僕は地元に戻ってきた。

僕と彼女は高校2年生に付き合い始めた。
そのころは地元の大学に行くと思っていたが、僕は自分のしたいことを見つけたので東京の大学に行くことにしたのだ。
そのとき彼女は少しだけ泣きそうな顔をしたが「夢を叶えるんでしょ? なら私なんて気にしないで、東京でがんばりなさい」強がりながらもそういう言葉を放った。
僕はとん、と背中を押された気がした、彼女の真っ赤な頬が愛しい。

2週間しかいれないけど、というと彼女は「わざわざありがとう」という端的でも彼女の愛のこもったメールが届いた。

4ヶ月ぶりの彼女は、髪の毛が伸びて、化粧も少しだけだがしていて、空気が少しだけ変わっていた。

「久しぶり、彼氏さん」
と彼女はいつもの待ち合わせの時に言ってた言葉を言った。
僕はああ帰ってきたなと思いながら、彼女を抱きしめた。
「人がいるだろう。たくさん」
と冷たく言い放った彼女は、僕の腕の中で笑った。
「いいんだよ、久しぶりの再会だよ?」
「それもそうだね」


でも彼女との時間はあっという間だった。
僕は電車のホームに彼女と一緒にいた。

「次ぎ帰ってくるのは何時?」
彼女がまるでなぞる様に、聞いた。髪の毛が揺れる。4ヶ月前はゆれてなかったはず。
「んー……多分12月の下旬かな」
「そっかー……」
彼女は目を細めるようにホームの先を見た。そして「東京は遠いね」と笑った。
「次は私が行くよ、泊めてよ」
「うん。泊める。一緒に東京観光しようか」
「ちゃんと案内してよー?」
冗談ぽく笑う彼女の声は震えていた。
そして目からは涙がこぼれていた。
「泣かないようにしてたのに、そしたら信二を引き止めちゃう。そんなことしたくない。信二を笑って見送りたい……でも会えないのは寂しい」
「……うん、ごめん。寂しい思いさせて」
僕に言える言葉がこれが精一杯だった。僕がそういうと彼女は涙を手の甲でぬぐった。
「……馬鹿じゃないの? あんたは夢を叶えるんでしょ? なら私を気にしないで」
「馬鹿、気にする。真由美のことすごく大切だから」
「なら、私は4ヶ月我慢する。だから4ヵ月後はたくさん私を愛して」

そう彼女が告げ終わると電車がホームに滑り込んできた。



( また、ね? )