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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 憂鬱スター ! ( No.51 )
- 日時: 2011/09/03 09:41
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: LJORQFwR)
「もう、別れたんでしょ?」
その一言が僕をひどく、深く傷つけた。
彼女はそんな言葉を放つような子じゃなかった、そう思いたかった。彼女はにこりと笑い、片方だけのえくぼ、まっすぐとした目、そんな彼女のことを大切にしていた。
「……もう、関係ないじゃん。増田君には」
ふりしぼるように出した彼女の声は僕の胸に響いた。
そしてその言葉に僕は惑わされた、もう彼女は僕のことをなんとも思っていないんだということ。
「うん、関係ない。でも心配なんだ」
「そういうの迷惑」
スッパッときられるようかに発された言葉。
ごめん、と言うと、彼女は難しい顔をして、すぅと息を吐いた。
「……私は増田君に謝ってほしいじゃないの。
私は増田君のことが今も好きなんだよ、でも、でも私の勝手な理由で別れたから……。
だからね、私はあなたに対して冷たくあしらえば、あなたは私のことを嫌いになるでしょう?」
彼女の瞳からは大きなしずくがこぼれた。ぽたぽた、という言葉があうぐらい大きな涙だった。
僕の手はやけに無力で、そして泣いている彼女を抱きしめないでいた。
( ほうら、僕の手は無力で。何もできないんだ。 )
( 掌の言葉 )
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