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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 憂鬱スター ! ( No.59 )
- 日時: 2011/10/08 17:26
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: LJORQFwR)
「好き、なんです」
「え」
なんてことだろう。まったく認識のない人に告白をされた。
放課後の廊下、本当に誰もいないまっすぐな直線の上で。学ランの襟のところでキラリと校章が光る。
隣の隣のクラスの前だから、4組か、と私はクラスを確認して目の前にいる背の高い男の子を見た。男の子は私から目をそらして俯いた。
「あ、宮崎です」
男の子は思い出したかのように自分の苗字を言った。私は「宮崎君」と九官鳥のように繰り返した。宮崎君か、と脳に刻む。
まぶしく光る夕日が宮崎君の影を伸ばした。
「あの、保留じゃいけませんか」
なぜ自分がこんなことを言ったんだろう。と今でも不思議に思うけど、今となっては正しかったのかもしれない。
「私は宮崎君のことを正直言ってよく分かりません。
宮崎君の気持ちはうれしいよ。私なんかを好きって言ってくれて。
でも私はあなたと付き合うには情報が少なすぎるんです、よければ、宮崎君をよく知ってからお付き合いしたいの」
私がそういうと宮崎君は「そうですね」と言った。
そしてにこりと笑って「ありがとう」とも言った。
ドキ、と胸がはねた。これはなんなんだろうか。恋の始まり?
宮崎君はもう私に恋をしてくれていて、でも私はまだ宮崎君の何も知らない、ゼロの状態。
「あの、葉月さんって呼んでもいいですか?」
「……あ。はい」
私の返事に宮崎君はまた安心したように笑顔を見せた。
( ゼロスタート )
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