コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ( See You ) ( No.7 )
- 日時: 2011/07/31 10:35
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: xzitYG6X)
私は作治がどこの高校の通っているのか知らない。
地元は一緒なのだが、そして降りる駅も一緒なのにだ。
今日は土曜日だ。激しく照りつける太陽を一瞥し、私は作治を見つけたので少し離れたところに電車のホームに並んだ。
土曜日ということで私は土曜講座を申し込んだが、よし今日はサボると決めたので作治を追うことにした。
作治は青いシャツに無造作な髪の毛といういつものスタイルで、アホくさいあくびをしていた。
確か今日は芸術科で作品の交流会があるとか言ってたから学校に行くと昨日間抜けな声で電話をしているときに言ってた。
電車が滑り込むようにホームに流れてきた。プシューという音を立ててドアが開き、降りる人があふれるように出る、そして私も作治を見失わないように降りた人が全員出たところで私は電車に乗りこんだ。
作治はただぼうと電車の窓から空を見ていた、それもかなり間抜けなお顔で。ああ、キリッとしてればそこそこもてるんじゃないんだろうか、彼女心で考えて見た。アホらしいな。
私は作治の何を知っているのだろうか、と考えた瞬間にガラにもなく怖くなった。スルリと作治がどこかへ行ってしまう気がした。
好きな食べ物ちょっとだけ辛いカレー、嫌いな食べ物極端に甘いもの、誕生日にもらうとうれしいもの、無くなりかけていたアクリル絵の具。作治が私に得意げに話したことだ。
ああ、こんなにも私は作治のことが好きで、アホみたいな作治と一緒にいたいと思っている。
「……くそぅ」
と私は洩らした。こんなに作治のことを好きだなんて。
降りる駅になり、作治も人ごみにまぎれながらも降りていく、私も降りた瞬間——。
手首をつかまれた、完全に何も考えていない状態だったため、そして完全に力が抜けた状態だったために、うわっという間抜けな声を出してしまい、手首と一緒に後ろに倒れた。
「あ、やっぱり、綾瀬さんだ」
作治だった、うわぁ、尾行失敗だ。
「どうしたの? 何で今日はこっちこなかったの?」
と無邪気な声を出しながら私に問う、私は無言で作治を見つめた。
くそう、私はこいつが好きだたまらないんだなと思いながら、「うるさい、作治」と冷たく突き放した。作治は困った顔をしながら「土曜講座は?」と聞いた。
「サボる」と言うと、作治は「綾瀬さんが? めずらしいー」と言い、そして。
「あ、じゃあ今日の交流会来る? うちの学校でやるんだけど、出入り自由だし、他校の生徒もいいからさ!」
「うむ、サボろうと思ってたところだしちょうどいい、つれてけ」
作治は「了解しましたー」と私の手をひったくるようにつなぎ、そしてホームからつながっている階段を手をつなぎながら下った。
( 綾瀬の想い )