コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.100 )
日時: 2011/08/18 01:26
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: A2yHVZ/p)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

第二十九話『目線』


君を見れた。


君と会えた。


君と目が合った。


ただ、それだけが嬉しいんだよ。

















次の日——。


「本読んで下さーい」


遅刻ギリギリだった私は、朝読書で図書委員が呼びかけてるときに教室に入った。
前に居る図書委員の横には、やっぱり壱が居る。


「……」


席について、バッグから家庭学習ノートを取り出す。
珍しく、家庭学習をやってきたのだ。
教卓に出さなきゃいけないので、私は前にノートを置きに行った。


その時、さりげなく壱をチラ見してみた。


「っ!!」


そこで、私は心臓が止まりそうになった。
壱が本で顔隠しながら、こっちを見て小さく微笑んだのだ。
あっ、あががががっ!!
今のって私と目が合ったよね?
でも健吾後ろにいるし、もしかして健吾の方見てた!?
でも目が合った……よね?
勘違いだったら悲しいけど、あぁぁぁうっ!!


私はドキドキを抑え、自分の席へと戻った。


**


「——ねぇ、依麻さぁー。いつ壱に告るの?」
「え……」


体育の授業。
この時間は男子と女子別れているし、恋バナタイムにぴったりな授業だ。
由良の発言に私は目を丸くする。
由良は島野くんにOKもらえたからいいよなぁ……くそう。


「依麻、アピールしてる?」
「んー、アピールっていうか……。目合わせるようにはしてる……けど」
「うん」


これくらいしか、出来ないのだ。
無理矢理目を合わせて、私一人が勝手に喜ぶことしか出来ない。


「——あ、」


そう考えてると、朝読書の時の出来事を思い出した。


「今日ね、多分目合ったよ」
「まじ?」
「多分だけど、なんか朝読書の時に壱の方見たら、本で顔を隠しながらこっち見た」
「えぇぇまじ!? それ両想いじゃね!?」
「え」


何 故 そ う な る ?


「優、優聞いてーっ!! 依麻が壱を見たら、壱が本で隠しながらこっち見てたんだって!!」


——言わなきゃ……、よかった。
目が合ったには合ったけど、壱が私じゃなくて健吾を見てたとしたらどうするんだ。
私、ただの自惚れ野郎になるじゃん。


「告白しちゃいなーっ」
「えええ」
「だって壱、最近チラチラ依麻の方見てるよ」
「えっ!? 見てるの!?」
「見てるっしょ」


由良と優の発言に、私は目を見開いた。
チラチラ見てくれてたら嬉しいけど——。
でもそれ、本当なのか!?


「壱、面白い人が好きなんだって」
「あと引っ張ってくれる人」
「私、引っ張れないし面白くないから無理だわ」
「依麻、普段『あひょひょ』とか『あぎょす』とか言って、面白いからいけんじゃない?」


由良は笑顔でそう言いながら、私の背中を叩いた。
うーん……。
本当かどうかわからないけど、由良と優の発言が当たっていたら——。
ドキドキする。



誰だって、そんなこと言われたら……さ。
期待、しちゃうじゃないか。