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- Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.109 )
- 日時: 2011/09/03 17:49
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: TZkODFX/)
第三十二話『五月六日の出来事』
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月日が経ち、GW明けの金曜日——。
今日は、五月六日だ。
新学期から約一か月経った学校は、いつもと変わらない日常が流れていた。
しかし、そんな日常も今日——。
とんでもない出来事に変わることになる。
「——はい、依麻。どーぞ」
始まりは、由良からもらった手紙からだった。
「お、ありがとう」
大きな封筒に入れられた手紙は、『水城依麻様へ』と丁寧な字で書かれている。
私は中身を開け、その場で手紙の内容を見た。
『水城依麻ちゃまえ♪
みずきーん((0Д0))←
久しぶりだねぇ〜w
で。林田から聞いたんだけど、告られたんだって?
OKしてあげて^ω^
一回付き合ってみて、ダメだったらお断りすれば大丈夫だよ´ω`w
林田と島野くん、知り合いだからWデート出来るし、
めっちゃよくない!?♪
でも依麻次第だから、壱の事も含めて決めなよ(0∀0)ウェーイ
今日の放課後呼んできてって言われてるからさ♪
33HRに付き添っていきますので、一緒に行きましょう!
由良より』
「………………ちょっと待って」
「ん?」
「由良、何これ」
状 況 が 理 解 出 来 ま せ ん
「なんか、林田が『依麻に告白したんだけど、返事返ってこないから返事ほしい』って言ってたから、今日放課後話す事になった」
は い !?
「え、ほ、放課後、え」
「大丈夫だ! 私もついてくから」
まさかの展開。
……でも、こうなったのは私が返事出さないからだよね……。
きっと、林田も林田でモヤモヤしてたはずだ。
やっぱりちゃんと、きっぱり言わなきゃだよなぁ……。
でも、GWの間に一体何があったのか。
何が起きたのか。
私を置いて、色んな事が進んでいた。
**
どんどんどんどん、ただひたすら時間は進んでいくだけ。
それと同時に、放課後に近づいていく。
あぁぁ、なんか色んな意味で心臓が……。
こんな事、生まれて初めてだし。
振られてるのに慣れ過ぎて、今まで傷つく事しか体験したことがない。
これで私と林田が両想い……だったら、よかったのになぁ……。
なんて、馬鹿な事を考えていた。
「——見てたねぇ〜」
犬ちゃんの声が、掃除用具の所から聞こえてきた。
自分の席に座っていた私は、いつの間にか隣に居ない犬ちゃんを見て軽く驚く。
さっきまで隣に座ってたはずなのに、いつの間にそっちに……?
「……や、違うって〜! マジ犬ちゃん、や、違う、やめて、やめてマジ、やめて犬ちゃん」
考えていると、いつも以上に慌てている壱の声が聞こえてきた。
見れば、壱は犬ちゃんに首を腕で掴まれている。
おおう、W珠紀。
壱は犬ちゃんに引きずられながら、自分の席へと戻る為に私の前を通った。
「……っ」
壱が前を通るだけで、ドキドキする。
軽く目が合いそうで、合わない。
そんな私が想っているだけの片想いの関係は、もどかしい。
——片想いって、本当辛い。