コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.112 )
- 日時: 2011/09/04 15:35
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: TtH9.zpr)
- 参照: あっあぁぁぁ
第三十三話『呼び出し』
そ し て や っ て き ま し た 放 課 後
「……やっぱ、行かなきゃ駄目だよねぇ……」
ここで逃げてても、また林田を傷つけるだけ。
だからちゃんと話さなきゃいけないけど——。
うーむ、心臓が痛い。
でも、覚悟を決めねば!!
「由良、じゃあ三組に——……」
「ごめん依麻、島野くん待ってるから帰るね!」
「……え?」
今 な ん て い っ た
「ちょ、由良がいないと林田のやつが……っ」
「大丈夫だ! ……あぁ、もう島野くん帰っちゃうから行くね!! ばいばい!!」
「ちょおおおおおおお」
私は走り去っていく由良の背中を、ただ茫然と見ていた。
島野くん……島野くん……。
そりゃないぜ由良さん!!
「大丈夫だよ、私がいるじゃん」
ショックを受けていた私の所に、笑顔の優がやってきた。
私は情けない顔で、優を見る。
「優さぁぁぁん……。——いやでもさ、優って……」
「大丈夫、私も理由知ってるし」
「う、」
優 も 知 っ て る ん か い !!
林田、どんだけ周りに言ってるんだ……。
「——あ、誠そこにいる」
「っ!!」
優の言葉で、私は反射的に教室に逃げ込んでしまった。
……って、何やってんだ私!!
教室では、ちょうど掃除中。
掃除の邪魔にならないよう、教室のドアから廊下を覗いていた。
「……林田、どこに居る?」
「男子トイレ」
「え」
「出てこなきゃ意味ないよね」
私と優は、しばらく廊下の様子を見ていた。
男子トイレに居られたら、話すもんも話せなくなる。
「……依麻」
「ん?」
「壱、教室にいるよ」
「……っちょ、優……」
私は慌てながら、指で小さくバツを作った。
壱に聞こえたら困るでしょうが!!
優は笑いながら、廊下を覗く。
「……誠、来ないな」
「そうだね」
「誠ーっ!!!!」
ちょ、そんな大きな声で……っ!!
てか最初からそう呼べばよかったんじゃ……と思ったのは秘密。
「誠ー、こっち向けー!!」
優は、大きな声で叫んだ。
私はドアの影から、それを覗く。
その時、
「……っ!!」
壱が歩いてきて、こっちへ向かってきた。
ちょ、壱が近付いてくる……っ!!
動きたいけど動いたら林田と教室の前でご対面になる。
教室の前で話すとかになったら、人もいるし私も林田も厄介だ。
そう思った瞬間、
「依麻が話したいことあるって〜!!!!」
「えっ!? ちょ、優……!?」
それは、まるで私が告白するみたいな……!!
変な流れじゃないっすか、これ!?
そんな私の心の叫びと同時に、私のすぐ後ろで壱の足が止まった。
「……っ!!」
——壱に、聞かれた……?
ていうか、教室に居る人達に勘違いされたよねこれ。
少し視界をずらすと、すぐ横に壱の影が見えた。
ひぃぃぃぃ近いっ!!
「——ほらっ、依麻頑張れ!」
「ひっ!!」
優に背中を押され、私は廊下に出る事になった。
ちょ、ちょ……!!
「……っ」
はい、林田誠くんとご対面。
三組は今日、制服登校だったらしい。
林田は真っ黒の学ランを来て、ポケットに手を突っ込んでこっちを見ていた。
正直、心臓がドキドキっていうか、ヒヤヒヤする。
「……じゃあ、誠ー。何処で話すの?」
「……お前もいるの?」
「はぁ? いちゃ駄目?」
優と林田は、二人で会話をしている。
私はその間、必死に言葉を考えていた。
何て言おう、何て言えばいいんだ……っ!!
「いちゃ駄目なら、私去るけどさぁ……」
優はぶつぶつと言いながら、人の少ない場所を探していた。
私も優の後ろを歩き、林田も黙ってついてきていた。
そんな時、再び教室の前を通った。
「っ!!」
私は教室を見て、すぐ目を逸らした。
壱が、さっき私が隠れていた場所にまだ立っていた。
よりによってなんでそこに居るかなぁ……。
「……今、壱が依麻の事見てたよ」
「へ?」
優が、小声で私にそう呟いた。
私は目を丸くし、優を見る。
「見てたよ〜! ふぅっ」
「え、え?」
いや、でも完璧誤解されたよね。
めっちゃ近くで聞かれちゃったもん……。
よりによって、なんでタイミングよく後ろに来るんだ!!
「——ちょっと、トイレ行ってくるわ」
林田が立ち止まり、そう呟いた。
優と私は振り返り、林田を見る。
「じゃあ、どこにいればいい?」
「玄関」
「わかった。依麻、行こう」
「う、うん」
私は優に引っ張られながら、玄関へと向かった。