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Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.138 )
日時: 2011/09/18 07:30
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 5YaOdPeQ)
参照: 好 き だ !!

+番外編+ 『平安撲滅企画⑦』


髪の毛を全部抜き、眉毛も抜き、ペンチで出っ歯を抜いた。
優志の悲鳴が「デュギャアアデュギャアア」と公園中に響く。


「なんかキモイことになった……」
「いいんだよいいんだよ、ふふふふふ」


香織は嬉しそうに笑みを浮かべ、変わり果てた姿になった優志を見つめた。
優志はまだ「デュギャアア」と叫んでおり、地面に転がっている。


「まだまだストレスは発散しきれてない。……私の恨み、思いしれ!!」
「デュギャピーンッ」


香織は、優志の胸倉をつかみブランコに向かって投げた。
ブランコにおしりを打ちつけた優志は、変な悲鳴を上げる。


「香織、次はどうするんだ?」
「見ててね、孝文」
「?」


香織は優志をしっかりとブランコに固定し、動けないようにした。
そしてそのまま、香織は全身に力を込める。


「おんどりゃあああああああああああああ!!!!!!」


そのまま人間技とは思えない技術で、ブランコを高速で押した。
それを見つめていた孝文は、驚いたような尊敬しているような眼差しだった。


「オゲロッパゲプロンオエロンデュフギュッシャアブロロロロオウィエイエイエエエエデロリンロリンロリコンペロンチョペペロンチーノオウェエエエ」


優志は高速で漕がれているブランコの上で、得体のしれないものを口から吐き出しながら白目を向いていた。
やがて「ガクゥ」と叫ぶと、そのまま気絶する。
数分間ブランコを高速で漕いだ後、香織は「ふぅっ」と爽やかな笑みを浮かべていた。


「めっちゃスッキリ。やばいわコレ。孝文もやる?」
「俺もやりたい……」


孝文もブランコを掴み、高速ではなく——。
上下に揺らした。
野球で鍛えられた腕力で揺らされれば、体への振動は半端ないだろう。


「ギェギェギェギェエッ」
「やだ、気絶してるのになんか聞こえる」


香織は口許を押さえ、そう呟いた。
ハゲて歯抜けで眉なしのゲロまみれ白目気絶男の姿は、とてつもなく気持ち悪くて——。


とてつもなく、笑えた。


「——あぁ、本当香織の言う通りスッキリするな!」
「でしょ? やばいよね、これ」
「本当ヤバイわ、あ〜」


孝文は、気持ちよさそうに伸びをした。
そして爽やかな笑顔を香織に向ける。
香織は高鳴る胸を押さえ、自分も笑顔を向けた。


「——じゃあ、フィニッシュは……」
「フィニッシュは?」
「もちろん、アレでしょ」


香織はニッと笑みを浮かべると、優志を縛り付けていたロープを外した。


**


「……ぶっ」


鉄棒前。
ロープで鉄棒に巻きつけられていて身動きが取れないバカ殿……いや、愛可の姿を見て、孝文は吹き出した。
香織も一生懸命笑うのを堪え、引きずってきた優志を愛可の目の前に投げ捨てた。


「きゃあ!! 優志ぃ!」


愛可は、甘ったるいわざとらしい悲鳴を上げた。
顔に似合わないその声とのギャップに、孝文と香織は同時に大爆笑した。


「優志になんてことすんのよぉ!!」
「別に何もしてないよ」
「こんなハゲで眉なしで歯抜けな優志、いらない!!」
「アンタさりげなく酷いこと言ってるよな」


愛可の発言に、孝文はサラリとツッコミを入れた。
愛可は「オォォォ」といきなり叫びはじめる。
孝文はそれを無視し、「まぁいいや」と優志を持ち上げた。


「ラブラブな平安カッポーは、二人きりの方が楽しいだろ」
「いつもラブラブ見せつけてるしね。皆に見られるからいいんじゃない?」


孝文と香織は、笑みを浮かべた。
愛可の顔は、いつも以上に間抜けな顔だ。
孝文は縛り付けられている愛可のすぐ横に、気絶している優志を縛り付けた。


「ぶっ! ならぶと更にうける!!」


香織は腹を抱えて大爆笑した。
孝文も何度も吹き出しながら、優志をしっかりと縛り付ける。
愛可は必死に体をバタつかせたが、身動きが取れず。


「出来た! ラブラブ平安カポー」
「何よこれぇぇぇ!! 嫌だぁぁぁ!!」
「うるさい平安が!!」
「ウギュッシウ」


香織が愛可の頭に踵落としをして、愛可は舌を噛んで気絶した。
優志も気絶したままなので、このまま放置しておこう。
起きた時、どうなるんだろう——。
そう考えると、また二人の間に笑いが起こった。


「俺、こういうの好きだわ。楽しい」
「だよね! 私も好き」


『好き』。
その言葉に、香織は少しだけ過剰反応した。


こういうのも好き。
だけど、私は孝文も好き。


孝文は気づいてないかもだけど、私はこの想いを大切にしたい。
この人を好きになれて、よかった。
ペアで行動出来て、本当によかった——。


香織が孝文の横に並ぶと、地面に伸びる二つの影が出来た。
香織はそれを、顔を赤くしながら見つめていた。