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Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β 39.【勘違い≒期待】更新! ( No.158 )
日時: 2011/10/19 14:04
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: FlsHeB77)
参照: 完結まで頑張るぜぇえええええええええええいっ←

第四十話『私×君の気持ち』


なんだか、足取りがふわふわと宙に浮いているみたいだった。
頭の中は、ごちゃごちゃ。
不思議と体中が熱くなって、変な感じだった。


「!」


優と玄関へ向かい、足を止める。
ちょうど、壱の姿が見えた。
前まで着ていた赤茶色のジャンパーから、黒い薄手のジャンパーに変わっている。


「……」


か、かっこいい……。
私は思わず見とれてしまっていた。


そんな私を見て、優は冷やかすように私のお腹を触り始めた。


「壱いるよん」
「……っ」
「ひゅー」


優は私のお腹を触りまくりながら、そう言った。
く、くすぐったい……。
くすぐったいし恥ずかしいし、


「……っなんだよー!!」


私は優の体を掴み、反対にくすぐり返した。
優は大声を上げて笑い、必死に抵抗をする。


気付けば、もう壱は居なくなっていた。


「……はぁ、あー……。もう!」
「あははあははあははは」
「笑うなー」


私は横目で優を睨む。
優は笑いながら、壁に寄り掛かった。


「壱、ねぇ……。かなり気はあると思うよ」
「へ?」
「給食の時、毎日依麻のことチラチラ見てるし。あいつの見方、マジうけるからね」
「……でも、由良にも言ったけどさ。それが勘違いだったらどうする? 私、ただの自惚れになっちゃうよ」


そうだ、ただの自惚れ野郎だ。
自惚れして勘違いだったダメージは、多分立ち直れない位に酷いだろう。


「壱、面白い人が好きだって言ってたからねぇ」
「私、面白くないし」
「依麻、面白いじゃん。うけるよ。だからいけると思うけど」
「えぇぇ。私、教室では無口だと思うけどな」


話す人限られてるからね。
教室で話す人なんて、優と由良と愛奈しかいない。
だからクラスの連中から見れば、私はただの『無口な奴』と思われてると思う。


「壱と隣の時、依麻の話したんだよね。依麻がこんなことしてた〜とか面白いとかね」
「え」
「そしたら壱が、『そうなんだ。俺、面白い奴結構好きだけどな』って!!」
「……っ」
「だから、絶対気があるしょ! 由良も言ってたけど、さっきの健吾のやつもあるしさ〜」
「でもさ、それって勘違いかもよ? 健吾が『あいつお前のこと好きなんだろ』って言ってたのを、由良が聞き間違えたって可能性もあるし」


そうだ、聞き間違いかもしれない。
私が壱の事を好きだから、それで——。


「そうだったらさ、壱キレるしょ。『は?』とか『知らねぇし』とか」


……そう言われれば、確かに。


「でも壱がキレないで『やめろよ〜』って笑顔で言ってるなら、絶対違うでしょ」
「……」
「——壱、なんか変わったもん」
「……何が?」


壱が、変わった?
そう言われれば、確かに前よりは穏やかになった気がするような……。
二年生の最初の時は、なんか不良っぽかったし。


「前、私が一回目に壱と隣になった時あるじゃん」
「……あぁ、去年の十一月ぐらいだっけ」
「その時壱にえまの話しても『ふーん』とか素っ気ない態度だったし、なんかちょっとイライラしてて不機嫌だった」
「……うん」


やっぱ、嫌われてたんだな。
そりゃそうだよね。
あの時は、色々あったし……。


「でも今はね、『そうなんだ』の後に『俺は〜〜』って必ず話に乗ってくれるの!!」
「へ?」
「さっきも言った風に、『俺は面白い奴結構好きだな』とか!! 必ず『俺は』って主張するし」
「……っ」
「壱変わったよ、あの頃に比べて。比較してみたいわ〜」


壱の考えてること、よくわからない。
態度が前と、変わった?
壱は私をどう思ってるの?
優や由良に言われると期待しちゃうけど、両想いはありえないと思う。
そう思わなきゃ、期待した後悲しくなる。
人生がそんな甘いわけじゃないだろうし、散々期待して違ったら立ち直れない。
立ち直れない、自信がある。


でも——。
真実は、どうなんだろう。


『好き』と言えれば、楽なのに。
気持ちが伝えられたら、いいのに。


壱の気持ちが、ちゃんとはっきり解ればいいのに。