コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β 39.【勘違い≒期待】更新! ( No.165 )
- 日時: 2011/12/02 21:54
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: OS.29i1w)
- 参照: 放置してたよー。文章力が更に落ちた気がする。
第四十三話『バス座席』
五月十八日。
世間でいえば、五月中旬。
そして光葉中学校の生徒から言えば——……。
修学旅行前日だ。
その日、コンタクトデビューした私は、早速新しい慣れないコンタクトをつけていった。
視界がはっきりと見え、思わず世界が変わった様に思えた。
ぼやけていた壱の顔も、はっきりと見える。
「……っうぅ」
私は自分の席で、思わず俯いた。
か、かっこよすぎて直視出来ない。
うん、駄目だ。
コンタクトパワー凄すぎるぜチクショウ!!
そんなことを心の中で叫び続けるのと比例し、どんどん時間は過ぎて行った。
修学旅行の前日ということもあり、学校自体もどことなくバタバタしている。
「——じゃあ、今から至急でバス座席の表を配るぞ!」
福野もいつも以上にバタバタしながら、バス座席表であろう紙を配った。
前の人から回られてきて、私はじっくりと見た。
二組、二組——……。
目で追い続け、二組の座席を見つける。
そのまま女子列の方に視界を映し、目線を下に降ろしていった。
壱の席、どこなんだろう?
私と由良は隣で、後ろは愛奈と優。
私の通路挟んで隣は、男子になる。
私はそこで、目線を横にずらした。
通路挟んで隣の人は——……?
「……え」
私は思わず、声を漏らして固まった。
里田由良 水城依麻 珠紀壱 堀巻健吾
……水城依麻? 珠紀壱?
え っ !?
もう一度言葉を発するのと同時に、微かに視界の隅に入ってた壱が勢いよく龍のほう振り返った。
それと同時に、優も私の方を振り向く。
「依麻、隣じゃんっ」
「あ、あわわ」
うそうそうそうそ!?
壱と、と、隣!?
通路挟んでるけど、隣!?
えぇぇぇぇ!?
私は、何度もバス座席表を眺めては茫然と口を開けた。
——嘘だ。
こんな奇跡って、あるんですか?
**
いつも以上に時間が過ぎるのが、早かった気がする。
だって、頭が追いついていない。
状況を理解できない。
「——依麻、よかったじゃん!!」
明るい声と肩にくる軽い衝撃で、私は我に返る。
振り向けば、由良が笑顔を浮かべて私を見ていた。
顔を上げるのと同時に、壱が私の横を通り過ぎる。
そのまま彼の足は、龍の元へと早々に進められていった。
「——バスバスバス」
壱が少し早口で、龍に向かってそう言った。
バスという単語が壱から出ると、ドキッとする。
「依麻さぁ、壱と隣じゃあん」
「あ、う、うん……っ」
「絶対男子たち、仕組んでるよね」
「え?」
由良の一言で、私の動きは止まる。
仕組んでる……とは?
「健吾、生活委員じゃん。健吾がこういう席にしてくれたんじゃないかな」
由良の一言で、更にドキッとする。
確かに、バス座席の壱の隣は健吾だったし——。
今、龍の席に集まっている疾風も壱の前の席だし。
通路挟んで隣だけど、近いよね!?
やばいやばいやばい!!
これは、明日が楽しみすぎる!
中学生活最後の大イベント。
修学旅行で、いい思い出が作れますように——。