コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β 39.【勘違い≒期待】更新! ( No.170 )
- 日時: 2011/12/09 23:12
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 3mln2Ui1)
- 参照: 徐々に復活していくぜ\(^0^)/
第四十四話『修学旅行一日目』
五月十九日——。
とうとうやってきました、修学旅行。
「とうとう来たぜ、兵庫県ー!!」
飛行機に揺られ、数時間。
北海道から兵庫県に上陸した私は、テンションが一気に上がり大声で叫んだ。
飛行機の中で散々騒いだ生徒たちのテンションは、若干低めだが。
私はそれを気にせず、叫んで飛び回った。
「てか暑っ!! なんだこの北海道との気温の差は」
「依麻元気だねぇ……」
「バスで酔うわ暑いわで、そんな元気でないよ……」
横に居た由良と優は、呆れ顔で溜息をついた。
だってだって、関西だぜ?
修学旅行だぜ!?
テンション上がるに決まってるでしょう!!
「では、二組はこのバスに乗ってください」
添乗員さんにそう言われ、私は足をもつれさせながらもバスの方へと走った。
待ってました、バス!!
修学旅行の楽しみの一つは、バスの中だ。
好きな人と通路挟んで隣だなんて、嬉しすぎるぜ!!
「いやっふぅぅ!」
私は見事に駆け込み乗車をし、素早く自分の席に座った。
隣を見れば、空いている壱の席。
ここに壱が来るのかぁ……!!
通路挟んで隣って、想像以上に近くない!?
な、なんか急にドキドキしてきた……。
「——あれ、壱そっちじゃなかったっけ」
ドキドキが頂点に達しかけた時、自分のすぐ近くで声がした。
見れば、すぐ横には壱と健吾が。
健吾が窓側に指を差し、壱の顔をじっと見つめている。
「え、こっちだよ」
「そうだったっけ?」
どうやら、壱と健吾は席について話しているようだ。
壱は健吾の意見を否定し、私の隣へと視線を落とした。
「俺こっちだよ」
再び、壱がそう言った。
鼓膜の奥へと響く特別なその声に、更に胸が高鳴る。
壱の意見に納得したのか、健吾は窓側の席へ座った。
その横——つまり、私の隣に壱は腰を下ろす。
……やばい、近い。
ドキドキがヒートアップするのと同時に、バスが発車する。
「……っ」
バスの中ざわめき始める。
しかし、私と壱の間だけ静かで特別な空間に感じられた。
こ、こ、これは……っ!!
なんとか会話をしたいけれど、どうすれば——?
気を紛らわせるために、椅子についている小さな机の留め具をくるくると回した。
すると横に居る壱も私と同じように回しはじめ、更に心臓が爆発しそうになったのは言うまでもない。
それぞれの想いを乗せ、バスはのんびりと進んでいった。
**
「——うー、やっとホテルに着いたぁ……」
バスの中で揺られ、色んな場所を巡り——。
高級ホテルにつき、私はバスを降りて大きく伸びをした。
あの後、私はドキドキが頂点に達し、由良と一緒にバスの中で騒ぎまくっていた。
多分、バスの中で一番私と由良がうるさかったであろう。
しかしそんな事も気にしないほどヒートアップしてしまった。
そんな中で、壱とは特に進展はなし。
唯一あった小さな出来事と言えば——。
由良と会話をしていたときに、壱も同じようにその話の内容を呟いたり。
その時は驚きすぎて、前の椅子に頭をぶつけかけた。
由良も驚き、『壱、依麻が言った言葉言ったよね……?』と目を丸くしていた。
例え、それが偶然だとしても。
私にとっては、凄く嬉しい事だった。
**
夕食を食べ終わり、私は由良と一緒にホテルの中のお土産屋さんを見に行った。
そこには人がたくさんいて、熱気で一気に体が熱くなる。
それでもなんとか人ごみの中をかき分け、うっとおしい髪を後ろでまとめてお土産を見に行った。
その時、
「——ねぇ」
あまり聞きなれない声が、後ろから聞こえた。
私は小さく肩を揺らし、慌てて振り向く。
見れば、そこには——。
「お土産、何買った?」
両手に荷物を持った、林田誠が居た。
え、わ、私に話しかけてるの!?
突然話しかけられたことの驚きと、告白された時の事を思い出し——。
私は挙動不審になりながらも、誠を見た。
「え、えっと、まだ買ってないけど——。今夜由良と夜更かしするためのミニライト買う」
「まじか」
「うん……」
……。
会 話 終 了
「……じゃ、じゃあ!」
「あ……、うん」
急に気まずさが押し寄せ、私は誠から目を逸らしてその場を去った。
誠は何かを言いかけようとしていたが、言葉を飲み込んで頷いた。
その時の誠の表情は、見なかった。
いや、見れなかったのだ。
あの気まずい空気、苦手だ。
誠には凄く悪いんだけど、どう接したらいいのかわからない。
どんな顔して誠の前に立てばいいのか、わかんない——……。
「——依麻、もうあと三十分で学級ミーティング始まるって!」
由良にそう言われ、私は我に返った。
あ、あと三十分だと……!?
「私まだお土産買ってないよ!」
「早くしなきゃやばいって!! 私と依麻、お風呂入ってないじゃん!!」
「あがーっ!! そう言えばそうだった!!」
私は慌ててお土産を選び、急いで部屋に戻った。
その後お互いに交互にシャワーを使い、髪を乾かさないままミーティングへと向かったのは言うまでもない……だろう。
結局この日、壱との進展はナシ。
由良とお菓子パーティーをして夜中まで騒ぎ、生活委員会の女子と福野に怒られて、修学旅行一日目は終わった。