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Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β  ( No.182 )
日時: 2012/01/02 22:48
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: qwjQ/00r)
参照: 徐々に復活していくぜ\(^0^)/

第四十七話『弱虫片想い』


修学旅行が終わり、季節は六月に入った。
梅雨が多くなる時期と呼ばれるだけあって、なんだか少し蒸し暑く感じる。


修学旅行が終わった後、壱とは全然目が合わないし。
接点もなくなってしまった。


「——おい、ティッシュ」
「え?」
「ティッシュだよ、ティッシュ。机が濡れてる」
「そんなのどうだっていいじゃん」
「濡れてるのにはティッシュだろ〜?」


今だって、壱と優香ちゃんは仲よさ気だ。
なんか、最近更に仲良くなってる気が……。
今日は授業中も結構話してたよね。
私はさ、今日一度も壱と目が合ってないのに……はぁ。


心の中で溜息をつくと同時に、壱が頬杖ついて体を捻った。
無理矢理でもいいから、目を合わせたい……っ!!
その一心で、私は壱の方を見た。


「——……っ、」


だけど、その想いはすぐ途切れた。
壱が頬杖をついて見てるのは——……。


優香ちゃん。


優香ちゃんに笑みを浮かべて、楽しそうに話している。
あんな笑顔を浮かべることも出来るんだ。
壱、優香ちゃんの方ばっか見てる。
前までそんなことなかったのに——。


……なんで?


私は壱の彼女なんかじゃない。
だけど、壱の事を影ながらずっと見続けてるのは私だ。
だってもう、片想いして半年以上経ってるんだよ?
こんなに好きなのに、なんで気づいてくれないの?


今日は目も合わないし。
龍のとこにも壱来ないし。


なんで、こっち向いてくれないの?


**


なんだか暗い気分になりつつ、放課後。


「帰ろ、依麻」


由良に引っ張られた私は、力なく廊下へ出た。
壱に会いたいなぁ……。
壱、まだ教室にいるかな。
そう思いながら、ふと振り返る。


「!?」


こんな偶然があるんだろうか。
振り返った先にはちょうど壱が居て、ばっちりと目が合った。
見たのは私からなのに、思わず驚いてしまい、目を丸くする。
壱も少し驚いた顔をして、私を見ていた。


「……っ」


気まずくなり、前を向いた。
……でもやっぱ、もう一回見たい……かも。
もう一度振り向いた。


「……」


しかし、壱は下を向いて友達と歩いてる。
振り向いた私に気付き、近くに居た優とまなも壱がいるのを確認した。
そして、


「……フゥーッ!!」
「!?」


優が私を思い切り押した。
なななななっ!?
私は突然の出来事に、言葉が出ず茫然と目を丸くした。


「依麻いるじゃん〜、フゥッ」
「本当だーっ!! フゥーッ」


優とまなは、私をからかうように大きな声でそう言った。
ちょ……っ!?


「あの、ちょ、バ、バレる……っ!!」
「バイバイって言っておいで」
「ななななっ、」
「ほら、依麻っ!!」


力強く、なおかつ思い切りまなに引っ張られた。
何をする気だこの人達はぁぁぁぁぁ!!
私は必死に抵抗した。


「ややややや、やだやだむりっ」
「ばいばーいって!! ばいばーい!!」


まなが壱に向かって手を振った。
ひぃぃぃぃっ!!


「や、も、は、早く行くよ!!」


私はまなの手を振りほどき、早歩きで進んだ。
やばい、恥ずかしい……!!


「依麻、顔真っ赤!!」
「赤っ!! フゥーッ!!」


もうやだだだだ!!
百パーセント壱に聞かれたな、これは。
明日、ますます学校行きたくない……。


——いや、だけど!!
明日こそ、何か変われますように——。
頑張らなきゃ。
弱虫な私、頑張れよ!!


私は自分にガッツを入れながら、明日いいことがありますように……と空に願った。