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Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β  ( No.190 )
日時: 2012/02/08 21:10
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 5f84h5.J)
参照: ただ好きなだけじゃ、駄目なんだね。

第四十九話『中体連壮行会』


次の日。
今日も目が合いそうで合わないままの状態を繰り返し、給食片付けの時間になってしまった。
今日は中体連壮行会なので、部活に入っている生徒は準備をし始めた。
部活に入っていない私は、特には気にしてなかったが……。


中体連壮行会は、部活に入っている生徒をじっくり見れるチャンス。
つまり、男子テニス部に入っている壱をじっくり見れるチャンス……という訳だ。
しかも、いつもとは違う服装——そう、ユニフォーム姿が見れる!!
コンタクトをいれている私には、もう完璧に壱のことが見える。
なので私は、壱を見る事だけが楽しみでいた。


「——壱〜」


ふと、壱のことを呼ぶ声が聞こえた。
反応するように廊下を見ると、ちょうどユニフォーム姿で廊下に居る壱の姿を目撃することが出来た。
軽く目が合い、一気に私の心臓は爆発した。


やばぁばうばぁばいばうば!!
足細っ! 腕長っ! スタイルよすぎ顔イケメンかっこいいうわぁぁぁぁ!!


——水城依麻。
中体連壮行会前から、爆発寸前です。


**


昼休みが終わり、中体連壮行会が始まった。
女子卓球部や女子テニス部、男子バスケ部などが次々と入場し——。


≪——続いて、陸上部が入場します≫


なかなか男子テニス部の番が来ない。
そう思いながらも、露出の高いユニフォームを着た陸上部の入場を眺める。
優香ちゃんと叶太と——……。


「……っ」


優香ちゃんと叶太の後ろに、だるそうに歩いている林田の姿が目に入った。
は、林田……っ!!
私は素早く陸上部から目を逸らす。
そういえば林田、陸上部だった……!!


≪——男子テニス部が入場します≫


気まずさに俯いていると、男子テニス部が入場してきた。
キタァァァァァァ!!
私が顔を上げるのと同時に、すぐ横に居たまなが笑った。


「……うひゃ」


私はまなに向かって謎な笑みを浮かべた後に、入場してくる壱の方をガン見した。
やばいやばいやばいやばい、かっこいい……っ!!
私には壱が輝いて見えるが、何故かどことなく男子テニス部の雰囲気は暗かった。


「……葬式みたい」


後ろに居た優がボソッと呟き、私は思わず吹き出した。

**


入場が終わり、それぞれの部活の意気込みや説明が始まった。
テニス部は後ろの方だったので、順番が来るまで軽く退屈だったものの、他の部活の説明は意外に早く終わった。
なので、あっという間に男子テニス部の前——陸上部の説明が始まる。


≪私達、陸上部は——≫


優香ちゃんがマイクを片手に、ゆっくりと話し始めた。
優香ちゃんの方を見ると、自然に林田が目に入る。
林田と言えば、だるそうに立ちながら俯いていた。
やっぱり、林田を直視するのは気まずい。
だけど、なんか。
なんか、目に入っちゃうんだよね……。
帰り道とか遭遇率高いし。


≪——次に男子テニス部、お願いします≫


そう考えてるうちに、男子テニス部の番が来た。
私は考えるのを止め、壱の姿を探す。
部長の零が真ん中に立ち、壱は一組側の前に立つ。
二組の前に居る私にしては、結構近い距離。
やばいやばい。
高鳴る心臓の音を押さえ、壱を見る。
それと同時に、壱も体は動かさず横目だけでこっちを見た。


「!?」


……ばっちり目が合った……!!
目がキリッとしてるから睨まれてるみたいだけど。
すぐに壱から逸らしてきた。


……やばいやばい。
ニヤけそうになるのを堪える。
一生懸命堪えながら壱を見ると、壱も軽く横を見た。
何度か目が合いかけ、堪えきれなくなった私は俯いて小さくニヤけた。


やばいって、これ。


**


≪——それでは、退場に移ります≫


退場のアナウンスが入り、次々と部活に入っている生徒は退場していった。
男子テニス部が退場している時に、私はがっちりと壱の方を見る。
壱は横目使いでこっちを見たため、軽く目が合いかけた。
……と思いきや、すぐに顔を背かれる。


気のせいか。
その時は、そう思っていた。


「壱、依麻のこと見てたよっ」


突然横から聞こえたその声に、私は顔を上げた。
見れば、まなは明るい笑みを浮かべている。


「……へ、嘘!?」
「本当、ガチで!! さっき目、合わなかった?」


目を丸くし、軽く混乱しながらもまなを見つめる。


「目……」


合いかけて、逸らされた。
気のせいだと思った。
思った、のに——。


「ひゅーっ! 依麻、やばいなぁ〜」


気のせいじゃ、なかった?

















横から入るまなの冷やかしを受け流しながら、私は必死にドキドキを抑えていた。