コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β  ( No.202 )
日時: 2012/02/27 19:17
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: /08hIsKD)
参照: いかないで もう いかないで。

第五十三話『文化祭の役割決め』


この日の六時間目は、十月にある文化祭の役割決めだった。
朝の体育祭の話といい、文化祭の話といい……。
随分と忙しい学校だ、うぬ。
心の中でそう思いながら、クラスの書記が書いている黒板の字を見つめる。


装飾と……貼り絵と壁新聞。
三年生の定番の劇は、今年無くなったらしい。
なので役割は、この三つ。
去年貼り絵やったしなぁ……。
『貼り絵』と言えば思い出す。
転校してきてすぐ、貼り絵の活動をして——。
叶汰が好きだった、頃。


あぁ、懐かしいな……なんて。


「貼り絵——……」


そう思っていると、壱と龍が貼り絵の話をしているのを耳にした。
二人は貼り絵にするのかな。
愛奈と優と由良は、どこにするんだろうか——。
そう思いながら由良の方を見ると、


「依麻、貼り絵やろう!!」
「いえっす!」


待ってました貼り絵!!
最後の文化祭活動くらい、好きな人と活動したいじゃないか!!
まぁ文化祭活動は、いつもいい思い出がないんだけどね。


「じゃあ先に装飾聞きまーす。装飾がいい人〜」


議長がそう言い、私は辺りを見渡した。
壱と龍手を挙げてる……って、





「壱と龍と……枝野だけ? 他いないの〜?」


えええええええええええええええええ。
二人とも、貼り絵じゃ……? あ、あれ?


「どうしよ〜」


優は黒板を見て、考えている。
そこで由良は優の方を見て、


「……優、装飾やらない?」


そう呟いた。
……って、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?


「いいよ、装飾やろう!」
「じゃあせーのっ」


優と由良が、一緒に手を挙げた。
えええええええええええええ!?


「え」


周りからも「え」と聞こえてきた。
由良の裏切り者ぉぉぉぉおぉぉう!!
どうしよう、愛奈、どうすれば……。
愛奈の方を見るが、愛奈は困った顔。


「——じゃあ残った人、貼り絵でいいですかー」
「いいでーす」


よ く な い ぞ !!


「依麻、愛奈、装飾こーい」


優と由良は、笑みを浮かべてそう言っている。
だって、貼り絵の約束してたのに、え、え、え。
壱と龍装飾……えええええ?


「ひいいい」
「どうしよう、依麻……」
「愛奈、ど、どうす、」
「私も装飾行こうかな……」


あばえべっべ!
私も装飾やりたい、やりたいけどさぁ……!!
壱目当てって思われそう。
ストーカーって思われたらどうしよう、やばい、あぁぁ!!!!


「私、装飾やりたいって言ってくるわ」
「え、ちょ、ま、あい、」
「先生〜、装飾やりたいんですけど」


ち ょ っ と 待 て よ !!


「あぁ、じゃあ柴崎に言いな」
「うし」


牛じゃないよもおおおお!!!!
そんな心の叫びも虚しく、愛奈は学級代表である柴崎の所へ向かった。


「柴崎ー、あのさ、装飾でもいい?」
「——え、愛奈装飾いくのかいっ」
「装飾ー?」


周りからのブーイング発生。
あえええええ!?
それでも愛奈はお構いなしに、柴崎を見る。


「……いい?」
「いいよ」


柴崎すんなりOK。
辺りが静かになり、私はその場に立ち尽くした。


「……ど、どうしよう……」


これで完璧に、柴崎に話しかけるタイミングを失ってしまった。
装飾にいきたい……。
めちゃめちゃ装飾にいきたい……!!


だけどだけどだけど、


「……じゃあ高見が追加で、貼り絵は……」


柴崎はもう貼り絵メンバー役割決めてるっぽいし!
今更言えない。
しかも私、柴崎に嫌われてるしおうまいがあああああ!!


心の中で叫ぶが、何も出来ず。
時間だけが過ぎ、帰りの会が始まってしまった。


**


「……もう、やだ……」


装飾行きたかったけど、もう駄目だろうな。
あぁ、私の意気地なし。
私の馬鹿。


馴染めないクラスのメンバーに一人だけ貼り絵として入って、壱とも離れて——なんて。
最悪すぎる。
最悪すぎるけど……自業自得、だよねぇ。


そう思っていると、


「……水城」
「!?」


神の手が救いを差し伸べた。
柴崎ぃぃぃぃぃぃ!!


「水城はどこがいいの?」


柴崎は表情一つ変えず、私にそう言った。
私は嬉しさと戸惑いで、顔を強張らす。
だって、柴崎と話したことないし……。


「え、えとぉー……どこでもOK、な、の?」
「あ?」


ひいいいいいいいいいいいっ!!!!


「……そ、装飾で! お願いします!」
「装飾ね」


柴崎は紙に目を落とし、印をつけた。
そ、装飾になれた……!
ホッとしたけど、ドキドキはんぱない。
柴崎怖ぇよ!!


装飾になれたのはいいけど……。
壱のストーカーだと思われたらどうしよう。
でも色々考えても、仕方ないよなぁ。
私もなりたかったんだし、由良も優も愛奈もいるし!!


うん、そうだそうだ。
無理矢理ポジティブな方向に考えることにした。