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Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β  ( No.220 )
日時: 2012/03/30 03:28
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: UXIe.98c)
参照: 些細な事でも幸せ。

第五十八話『矛盾heart』


喜びと罪悪感に包まれた、波乱な一日から幕が開けた。


「……眠い」


昨日もまともに寝れなかった。
寝れなかったけど、一応朝練は参加。
その代わり、壱は朝練に来なかったけれども。


そんな私の視界には、遅刻して来たがのうのうと龍と笑っている壱の姿が。
気まずい、実に気まずい。
遠くからでしか壱の顔が見れません。
まぁ、それは当然の事で。
昨日あんなことがあったのに、ポジティブで積極的になんて私にはできません。


そんなこんだで、かれこれ見つめ続けて十分程度。
視界に入っても、壱は一向にこっちを向かない。
気まずいからいいんにはいいんだけど、やっぱり好きな気持ちには変わりはない。
やっぱこっちを向いてくれなきゃ悲しいし、向いたとしてもどんな顔をすればいいのか——。


考え過ぎかもしれないけれど、なんか避けられてるような気もするし。
いや、もしや私が避けてる?
……そんなこと、ないよね。うん。


喜びと嬉しさと、込み上げる気持ちは比例する。
嬉しさの中にある罪悪感は、時に私の胸を締め付ける。
こっち見て。……でも、見ないで。


矛盾してるな、おい。


**


「昨日依麻、大変だったね」
「え?」


一時間目の体育終了後、教室で由良がそう呟いた。
突然の言葉に、私は目を丸くする。
確か昨日、由良はあの場にはいなかったはず——。


「なんで知ってるの?」
「優に一部始終聞いた」


……やっぱり、そうなっちゃいますよね。


「まじっすか……。なんて聞いたの?」
「強制的にばいばい言わせるために壱引っ張ってー。最初壱は抵抗したけど、最終的にばいばいしたって」
「……うん、その通りですね」
「でもとりあえずよかったじゃん。お疲れ様って感じだけど」
「まぁ……ね。ありがとう」


うん、昨日の出来事は私の嬉しい出来事ベスト3に入るぐらい印象に残る出来事だ。
だけど、どうしてもやっぱり罪悪感がねぇ……。
なんかこう、スッキリしないんだよなぁ。



そんな気持ちに追い打ちをかけるように、


「いーちっ」


彼の名前を呼ぶ、志保ちゃんの声が聞こえた。
志保ちゃんは茶髪に近い髪の毛を揺らし、壱に近づく。


……そう、だよね。
私が悩んでいても、悲しんでいても。
誰かが笑っていても、泣いていても。
時は残酷に、平等に進んでいくのだ。


やだなぁ。
なんか嫌な予感。


想いはなかなか伝わらないのに。
そういう時の思いは、ほとんどの確立で当たるもんだ。