コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.227 )
- 日時: 2012/04/22 16:56
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: eGpZq2Kf)
- 参照: らんらんらん
第六十一話『誤解』
「……依麻、今日元気なかったけどなんかあった?」
二人で歩いていると、不意に愛奈がそう言った。
私は少しだけ胸が痛くなりながらも、ゆっくりと口を開く。
「いつものことだよ。……壱のこと」
「あー、壱ねぇ……。何あったの?」
「いや、なんか嫌われてるかなーみたいな……。みたいなっていうか、確実に嫌われてるか」
私は小さく溜息をついた。
本当に好きな人、なのに。
どうして相手は好きになってくれないのかな。
恋愛は、厳しすぎるよ。
「勘違いじゃない? 依麻の」
「勘違いだって信じたいよ。……でも、あんなの勘違いじゃない……。志保ちゃんと私の事話してたっぽいし、迷惑そうだったし……。私が無理矢理みたいな事しちゃったから、壱に嫌われたんだよ」
あぁ、胸が痛いな。
心が痛みながら、私は淡々と喋った。
……喋った、つもりだった。
「……依麻……」
気付けば、涙が止まらなくなっていた。
愛奈は私を見つめている。
あぁ、なんで泣いてるんだろう。
嫌われたのも、私の自業自得なのに。
ただ悲しくて、苦しくてしょうがない。
「……依麻さ、『志保ちゃんと私の事話してたっぽい』って言ったよね?」
「……うー……」
「それ、依麻の誤解だよ」
「…………え?」
一気に、涙が引っ込んだ。
誤 解 ?
そこから、愛奈の話を聞いた。
愛奈が言うには、私がまなに引っ張られながらも壱と「ばいばい」を交わしたあの日——……。
その場面をたまたま見ていた志保ちゃんが優に話しかけ、優が志保ちゃんに全てを話したらしい。
それを聞いた志保ちゃんは怒り、次の日にまなにガツンと言ったのだという。
『……したくないのに、無理矢理とか嫌じゃない?』
志保ちゃんの言葉が、頭を過る。
じゃあ、あの話はまなのこと——?
私の事じゃ、なかったの……?
「だから、依麻の誤解だよ。壱は避けてなんかいないよ、きっと」
「……そっか……。そうだよね、全てのつじつまがあってる」
「でしょ?」
「うん。まなが何故か怒っていたのもさ、きっと志保ちゃんにガツンと言われたからだよね? 志保ちゃんがバラしてるって言ったのは、きっと自分が疑われたくないからだよね?」
「そうだと思うよ。まなのことだし」
なんだ……。
愛奈のその言葉で、一気に肩の力が抜けた。
本当に誤解だったんだ……。
まだまだ神様は、どうやら私を見捨てていなかったようです。