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- Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.237 )
- 日時: 2012/04/28 13:24
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: k1qI710b)
- 参照: らんらんらん
第六十七話『告白と協力』
——『好きです』
たった一言の、この言葉。
隠してる時間なんて、ないのに。
七月も半ばに入り、校舎には夏服特有の爽やかな白さが広がる。
夏休みももう少しで始まるというのに、相変わらず壱とは進展なし。
そんな私に、神の手が差し伸べられる。
優が、叶汰に『依麻が壱に告白したいから、協力して』と言ってくれたのだ。
そんな訳で叶汰は、今日の放課後壱を呼び出してくれる……という訳だ。
急にきた、告白のチャンス。
心の準備は出来てないっちゃ出来てないけれど——。
放課後まで、時間はまだある。
協力してくれる人に感謝して、頑張らなきゃ!!
……と、思っていたが。
「あぁぁぁぁぁぁぁどうしよう」
時間の流れは残酷で。
あっという間に放課後がやってきてしまった。
壱が教室から出と同時に、叶汰は壱の方へ向かう。
そして何かを話した後、叶汰はこっちをチラチラと見る。
……これが、いわゆる叶汰なりの合図なんだろう。
しかし、どうすればいいのか。
今、動けばいいの?
だけど、教室にたくさん人いるよね?
そんな感じで慌てているうちに、テニス部男子が教室に乱入。
そのまま壱は、去って行ってしまった。
あああああう!!!!
叶汰は壱を追いかけ、そのまま玄関の方へ消えてしまった。
……どうすれば、いいんだ。
叶汰と打ち合わせすればよかった、と後悔している自分が居た。
**
しばらく教室の前で待ってみたが、一向に叶汰も壱も帰ってこない。
どういうこっちゃ、これは。
そう思っていると、
「依麻ー」
横から呼ばれ、私はその声がした方を見る。
見れば、由良と仲がいい四組の沙菜が居た。
「沙菜〜」
「依麻、何してんのー?」
「あのね、実はかくかくしかじかって訳で」
「え?」
「珠紀壱と叶汰、玄関で見なかった?」
私は沙菜に向かって、そう聞いた。
沙菜は、「あ、そういえば居たよー」とのんきに笑う。
な に
「え、その二人、ど、どこへ」
「なんかねぇ、叶汰が一生懸命壱のこと止めてたけど……。壱が「いや、いいよいいよ」みたいな感じでくねくねして去ってったよ」
「え」
「なんかね、めっちゃ真顔なのにくねくねしてた」
そこで沙菜は、あははと笑い始めた。
壱帰ったんかい!!
叶汰は行方不明だし……あぁぁもう!!
動けない自分が憎い!
私は自分を責め、廊下でがっくりとうなだれた。