コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.245 )
- 日時: 2012/04/30 21:56
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: TkB1Kk0e)
- 参照: 完結までもうちょいでっせ
第七十一話『告白後』
「——っあー!! ぎんぢょうしたぁっ!!」
壱が去ったのを確認してから、愛奈に向かって叫んだ。
愛奈はゆっくりと階段から降りてきて、小さく笑みを浮かべた。
「……っあー……」
また振られたよ、くそぉぉっ!!
だけどなんか、実感がない。
ショックだけど、スッキリしてる。
今まで告白した中で、一番よかったって思える。
……思えてる、よね?
「……じゃあ、依麻。トイレ行きましょ」
「そだねぇ。……あ、もう壱は完璧にいなくなった?」
私がそう言うと、愛奈は壁から廊下を覗いた。
そして、動きを止めた。
「……門外と壱、いる」
「え」
な ん で す と
「二人、なにしてんの?」
「なんか話してるよ」
愛奈はそう言いながら、何回か廊下を見る。
そして、小さく吹き出した。
「っぶ、門外うける」
「え?」
「廊下に寝転がってるし」
「……え」
「壱も体育座りでちょこんと座ってたり、立ったりしてそわそわしてるし……なんなんだあいつは」
愛奈はそう言い、笑う。
寝転がってるのと、体育座りって……。
廊下の通行の邪魔じゃん。
見たら絶対面白いんだろうけど、見れない。
見る勇気が、ない。
とりあえず、今は廊下へ出れないという訳だ。
今、どんな顔して壱に会えばいいかわからないし。
明るく爽やかに終わったはずなんだから——。
だから今振り返ったら、戻れなくなりそうなんだ。
**
しばらく廊下に滞在して、大分時間が経った。
再び愛奈が覗きこみ、様子をうかがう。
「……どう? 愛奈」
「まだいる」
「まだいるんかいっ!!」
どんだけだよ!!
さっさと去れぃ!!
今、どんな顔ですれ違えばいいのさ。
大体、なんでまだいるんだ。
そう思った瞬間、
「えまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
優と由良が、叫び声を上げながら走ってきた。
優は素早く止まり、由良はスライディング。
私は驚きながらも、二人を見た。
「お疲れ、依麻!! 言えた?」
「言えたよ」
「おぉ!! どうだった?」
私は、二人に詳しい話を教えた。
壱と龍に聞かれない程度の声で。
二人は静かに聞いてくれて、私の頑張りを褒めてくれた。
「……じゃあ皆で帰るか!」
「ちょい待って。まだ壱とかいる?」
「あ、大丈夫だよ。ここに来るときに、壱とかに「居残りならさっさと一組行け」っつったから」
由良がそう言い、少し一安心。
三人が私の前を歩き、その後を追いかける。
廊下の窓から見える景色を見れば、相変わらずの眩しい晴天。
——明日は終業式、か。
話したりするのはいいなら、友達になれるように頑張る。
好きな気持ちはすぐには消せなくても、
気まずくならないようにしよう。
そんな、新しい決意をした。