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- Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.247 )
- 日時: 2012/05/01 18:28
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 9RoM5lpe)
- 参照: 鼻毛まっせ〜
最終話『終業式』
寂しい。
苦しい。
本当は、辛いよ。
私、誰でもいいわけじゃない。
貴方がいいの。
貴方が、よかったの。
**
次の日。
昨日まではスッキリとした気分だったが、朝起きて一気に気分が沈んだ。
時間が経って、落ち込むっていう厄介なヤツですかこれは。
「……あー……」
今日学校に行けば、夏休みだ。
だけれど、身支度ははかどらない。
時間を見れば、もう八時を過ぎている。
あーあ、遅刻だぁ。
そう呑気に思いながら、のろのろと準備をしてゆっくりと家を出た。
今日も暖かい、眩しい晴天。
いつもなら進む足も、今日はなんだか重い。
走れば間に合う時間だけど、走る気になれない。
今日は、ゆっくり学校へ向かおう。
……それでも、いいよね?
**
「終業式なのに遅刻するって、どういう根性してんのさ」
こういう根性です。
そう心の中で、小さく反発。
学校に着き、福野に怒られながら私は遅刻カードを書いていた。
「すいませんー」
感情のこもっていない声でそう言い、その場を後にする。
教室、入りづらい。
でも気まずくならないように、明るく笑顔を作らなきゃ。
平然を装わなきゃ。
そう心の中で唱え、教室の前に立つ。
ドアをゆっくりと開け、教室に入る。
一気に視線が集まり、私はそそくさと自分の席へ向かった。
その時に、壱と軽く目が合った。
一瞬慌てるが、すぐに逸らされる。
しかし再び壱はこっちを向いた。
私は気づかない振りをして、椅子に座る。
——なんで。
私、簡単に諦められないから駄目だよ。
こっちを見ないで。
忘れられなくなっちゃう。
前を向けなく、なってしまう。
「……っ」
こう落ち込んでる時点で、もう前なんか向けてないか。
頭の中は、いつでもやっぱり壱の事だ。
それは振られる前も振られた後も、同じ。
これから、夏休みが明けるまで壱に会えない。
……会えなくて、いいのかな。
これでいいのかな。
好きという気持ち、消せるのかな——?
貴方に振られた、七月二十一日。
置いてきぼりの、私の心。
辛くて切ない、恋心。
色んな想いが交差する、そんな七月二十二日。
十五度目の夏休みが、始まる。
*切恋華*Ⅱ END