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Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.26 )
日時: 2011/07/20 22:50
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: b/ePXT6o)
参照: (゜Д゜)決戦は明日だ!

第五話『知りたい想い』


馬鹿みたいだよね、


私。





**


今日も班の話し合いが合った。
またもや浮いてる私は、昨日みたいに壱を目で追う。
壱を見れば……うわ、壱もつまんなさそうだ。


「——みて、壱暗いよ」
「本当だ。つか話し合い参加してないだけでしょ」


私の心を読み取るように、同じ班の犬ちゃんと零が呟いた。
あの班が嫌なのかな。
面倒くさいだけなのかな。
具合悪く……はないよね?


そう思いながらつまんなさそうな壱を見ていると、


「……」


一瞬だけこっちを向いた。
壱の方をちゃんと見ようとしたら、逸らされる。


……なんか、避けられてる?
そう思いながらも、もう一回顔を上げると、


「……っ!」


目が合っ…………た?
数秒も満たないうちに、すぐ目を逸らされる。
たまたま私は、壱の方を向いた。
壱もたまたまこっちを向いた。
だから、偶然。
偶然かもしれないけど——……。


避けられてる?
嫌な考えが、頭をよぎる。
……いや、私が避けてるのかもしれない。
由良の話を聞いてから、壱となんとなく距離を置いてしまっている気がする。
なんだか気まずくなっている気がする。


前よりもっともっと遠くなった、私と壱の距離。
前よりもっともっと大きくなった、私の気持ち。
前よりもっともっと臆病になった、私がいる。


——馬鹿じゃん、私。
三年生から頑張るって決めたのに。
もう、弱気になってる。
こんなんじゃ、なかったのに。
こんなんじゃ、駄目じゃん。
私が変に意識して、自分から距離を置いて。
一人で勝手にへこんで——。


壱は私のこと、好きじゃない。
好きな人に好きって思われないと、意味がない。
でも私は壱に対して、弱虫になって何も出来ない。
だからこれが当たり前。
壱に避けられるのも、当たり前。
いや、壱は前からこんな態度だ。
私に対しては、他の女の子とは違う態度。


でもね、特別とかそういうんじゃない。
他の子みたいに話さないし、他の子みたいに下の名前で呼び合えない。
笑い合えないし、何も出来ない。
目が合っても、どっちかが目を逸らして終わり。
壱はいつだって、私によそよそしい。
そりゃあ私の気持ち知ってる訳だし、気まずいよね。
でもそれは、今に始まったことじゃない。
壱が変わった訳じゃない、きっと。


だけど。
知ってるくせに、
気付いてるくせに。
知らない振りは、やめてよ。
全部……気づいてるくせに……。


名前ぐらいしか知らない、赤の他人。
ただの、クラスメート。
私と壱はそんな関係。
私の片想い。
一方通行な、片想い。


私が転校してきて。
私の席は、廊下側の一番後ろ。
窓側の一番後ろに座っていた彼の存在なんて、まだ気づかなかった。
席も遠かったし、私はただでさえ目が悪いので、壱の顔もよく見なかった。
しばらくして、叶汰を好きになって——……。
それから初めて、壱の存在を知った。
第一印象は、普通に「かっこいい」だった。
普段のジャージ姿とは違う、学ラン姿を見てから目が離せなくなった。
あの笑顔を見てから、心がときめいていた。
言動や行動、仕草も全部全部——……。
いつのまにか、叶汰じゃなくて壱を目で追っていた。


好きだよ、本当に。
壱のことが大好き。


——なら、堂々といけよ。
本当に壱が好きなら。
あの人の彼女になりたい、なら。
うじうじすんな、私!!


もう『普通』でもいいから。
少しでも君に近付きたい。


もっと君のことが、知りたいよ。