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Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.36 )
日時: 2011/07/24 02:10
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: aaUcB1fE)
参照: こんな人生寂しいです(by.BadBye

第六話『複雑な気分』


君との関係、


変えたいって、何度も願ってるくせに。


嫌われるのが怖くて。


結局、私は何もできない。




**


次の日——。
教室に入ると、席が変わっていた。


「依麻の席、ここだよー」


由良に言われ、自分の席に向かう。
私の席はちょうどド真ん中みたいだ。
隣の席の人は……。


『珠紀』


隣の席を見ると、そう書いてあった。
た、珠紀って……!!
も し や 、


「——あ、依麻の隣、犬ちゃんだよー」


由良の声で、一気に現実へ引き戻された。
犬 ち ゃ ん か い !!
珠紀違いやーん!!


期待した分、一気に絶望感が……。
うなだれながら溜息をついていると、ちょうど壱が学校へ来た。
壱が私より学校に来るのが遅いのは、珍しいことで。
もう変わっている席を見て、壱は軽く驚きながらもゆっくりと足を動かした。


「壱の班、ここだよ」


同じ班の人に言われ、壱は窓側へと向かった。
私の班は真ん中だから、まぁ近いっちゃあ近いかもだけど——。
そう思いながら壱を見ていると、壱は私の斜め前の席の椅子を見た。
しかしすぐに顔を上げ、前の席へと向かう。
そこで再び顔を上げ、その席へバッグを降ろした。
なんだ、あそこの席だったんだ……。
今日は期待外ればっかだなぁ……。
そう思いながら、壱の隣の席の人を見た。


「……」


……優香ちゃん。
壱が『クラスの中でマシな人』で選んだ、優香ちゃん。
なんでよりによって壱と隣なんだろうね……。


でもこの席、壱と優香ちゃんがバッチリ見える。
『全てが見える』が幸福へ導くか。
それとも、不幸へ導くか——。
そう思いながら壱の方を見た瞬間、


「!」


用意が終わって窓の所に寄りかかっている壱と、一瞬だけ目が合った。
私は慌てて逸らす。
ま、まぁ! 私が顔上げて壱を見たからね、偶然合っただけ!!
そう必死に自分をごまかした。
……だけど、やっぱ嬉しい。
嬉しいけど——、


『普通』


曖昧で残酷な、私の嫌いな言葉が頭をよぎった。
——なんだか複雑な、気分。


「……はぁ、」


私は小さく溜息をつき、これからの日常を不安に思いながら顔を伏せた。