コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.54 )
日時: 2011/07/29 01:33
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 5p/ciDZ4)
参照: こんな人生寂しいです(by.BadBye

第十四話『髪型』


確かに壱、髪の毛切ってたよ!
結構長めだった髪の毛がスッキリしていた。
正面から見てないから、どんな感じなのかわからないけど——。
きっと、変ではないはず。元の顔がかっこいい人は、何をしても似合うさ!!
……でも、かなり髪の毛気にしてたな……。


一時間目が終わり、なんだか罪悪感に包まれながらも——……。
私は愛奈の席へと向かった。


「愛奈ー」
「お、依麻おはよー」
「——壱ー」


愛奈の挨拶が返ってくると同時に、龍が手招きし始めた。
壱は自分の席から立ち上がり、ゆっくり近づいてくる。
なんだか壱の方を見れなかったが、少しだけ壱が視界に入った。
確かに、正面も変わっている……気がする。


「愛奈でぶー」


そう思うのと同時に、由良が登場した。
愛奈の悪口を笑顔で発しながら。
愛奈は由良を軽く睨み、頬杖をつく。


「うるっさいな、朝からそれかい」
「あはははっ! ——ね、依麻。壱の髪の毛見た?」
「……しーっ」


大爆笑する由良に対し、私は唇の前で人差し指を立てた。
由良は途端に黙り、その場にしゃがんだ。
私もしゃがみ、座ってる愛奈を盾にして壱と龍からこちらを見えないようにした。


「……まだ、見てないよ」
「そうなんだ。……なんかね、めっちゃ短すぎるよ」


声のボリュームを小さくして、由良は言う。
それを聞いていた愛奈は、こちらを覗き込みながら私の胸辺りを指差した。


「そんなんでもさ、依麻の気持ちは変わらない……よね?」


愛奈は笑みを浮かべ、そう呟いた。
ナイス愛奈!!


「うん! そうだよ、変わらないもん。髪型くらいで——」
「まじかー。私、そういうのめっちゃ気にしちゃうんだよね。好きな人の髪型とか気にならない?」
「別にどうでもよくない?」


髪型くらいで、嫌いとか好きとか左右されるのはおかしい。
壱、由良の発言から髪型気にしてたし——。
私は少し大きめではっきりとした口調でそう言った。
壱に聞こえるように。
『別に変じゃないよ』『私はそのくらいで気持ちが変わったりしない、ずっと壱が好き』。


そう、遠回しで伝えるかのように——……。


「でもさ依麻! よぉーく考えて見なさい。いくら好きでその人がかっこよくても、前髪だけあって後ろハゲとかだったらどうする? 嫌じゃない?」
「まぁ……それはあれだけど……。——うん、それは極端な例じゃん」
「んまぁそうなんだけどねー」
「……まぁ、それぞれ考え方はあるよね!」


だけど、私は好きな人の髪型だけで決めつけたりはしない。
その人の中身を含めて、好きになったんだから。


壱の外見も好き。
スッと通った鼻筋に、キリッとした切れ長の目。
女の子に負けてないほど、形の整った唇。
気だるけな雰囲気も、笑った笑顔も。
スタイル抜群な所も、
だって現に、私は壱に『一目惚れ』をして好きになったんだから。


だけど、外見だけでここまで好きになんてならない。
壱の性格、全てをひっくるめて——。


私は、この人を好きになったんだ。


「——なんで下向いてるのよ、壱ー」
「……」
「顔上げればいいじゃん」


龍の声で、私は顔を上げる。
やっぱ壱は、髪型気にしてるんだよね。
愛奈の席の隙間から、少しだけ壱を見てみた。
……本当に、短髪になってる。
ワックスで髪の毛がちょこちょこと立っていて、なんだか可愛い。


——大丈夫、全然変じゃないじゃん。
元の顔がかっこいいから、全然変じゃないよ。
気にすることなんてないよ。
私の前髪紛失の時より、全然恥ずかしがることない。


そう思ったときに、私は改めて自分の想いの大きさに知った。




















こう思える位、私、貴方が好きなんだよね。