コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.88 )
- 日時: 2011/08/07 03:24
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: dCkmB5Zo)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
第二十五話『予行練習』
昨日あからさまに目を合わせれなかった分、今日は頑張る。
そう決めた矢先——。
「……っ」
水城依麻、ピンチです。
「——牛乳パックとか〜」
給食時間が終わり、昼休み。
牛乳パックを裂いている私のすぐ横で、笑い混じりの低い声が聞こえてくる。
そう、現在私のすぐ横には——……。
珠紀壱くんが居るのです。
「……っ」
いやいやいや、ち、近い……!
そして、壱との身長差が……っ!!
身長差やばい、うわぁぁぁ!!
私の爆発寸前の思考回路とは裏腹に、壱はというと、ヒロたちと牛乳パックを裂きながら話してた。
手つきは素早いが、適当に裂いてるように見える。
壱の手、綺麗だよね……。
って、見とれてる場合じゃない。
そう思って顔を上げて牛乳パックを裂こうとした瞬間。
視界は遮られた。
「!?」
壱のスラリとした手が伸びて、私の目の前を通る。
ヒギィィィィィィィッ!!
私の中の何かが爆発すると同時に、壱は原田くんに向かって牛乳パックを渡した。
壱の存在でいっぱいいっぱいだったが、もう片方の横に原田くんが居たんだった……っ!!
そう悟るのと壱が去っていくのは、ほぼ同時だった。
「——依麻、早く牛乳パック裂き終われ!!」
由良の声で、私は我に返る。
そうだ、壱に気を取られて全然裂けてなかった!!
私は慌てて手を動かし、横に居る原田くんに牛乳パックを渡した。
「ごめん由良、お待たせ!」
「うん。——じゃあ依麻、告白の練習付き合って」
「おうけいっ」
そう、突然的な展開ですが——。
由良は本日、二年生の島野くんに告白をするらしいのです。
本番前に予行練習は大事だ、うぬ。
「島野くんさ、身長でかいから依麻伸びて」
「へ」
「依麻ちっちゃいからだめよ、椅子乗って」
「んああ」
ちっちゃいって失礼な!!
心の中でそう思いながらも、私は由良の椅子の上で膝で立った。
「まだちっちゃい」
「どんだけ島野くんでかいの」
こんなでかかったら、ジャイアントだよ。
そう呟くと、由良は呆れながら「そのくらいの身長でいいよ」と言った。
私は膝立ちをしながら、由良の顔を見る。
由良は真剣な顔でこっちを見て——。
「優しくてかっこいい、島野く……ぶっ!!」
吹き出した。
「はいカーット!! 何故笑う!?」
「だ、だって依麻の顔がウケる」
「なっ!? 目の前は水城じゃなくて、島野だと思うんだ!! 行け、由良! テイク2!!」
私は監督気分になり、由良に向かってそう言った。
由良はカンペの紙を見直して、何度も練習をする。
そして何度も、私の顔を見て笑った。
そんなに私の顔は面白いですか。
「——優しくてかっこいい島野くんが大好きです。よかったら付き合ってください」
「——はいテイク9!!」
「もうこれでいいじゃん〜」
「だって由良、私の顔見てニヤけてるんだもん!!」
「だって依麻の顔、ウケるんだもん! 普通の顔にしてや」
「これ普通ですが!?」
お互いにギャーギャー騒ぎながら、練習は昼休みが終わるまで続いた。
途中、クラスの人々に変な目で見られたが——。
全ては、由良の告白の成功の為!!
他人の目は、気にしないことにした。