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Re:   +Rainbow Light Music+   ( No.16 )
日時: 2011/07/21 11:44
名前:   苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
参照:   ▼  夏休みがーキタァァァァァァアァァァァ!!(何




 第五話『江実の正体』




 「別にぃ〜なんもしてないし。馬鹿じゃないの?」


 森沢江実は、鼻で笑った。里子は、拳を握りしめる。
 ……やばいって!! 入学早々、喧嘩なんかしたら……——
 そうおもっていると、突然服の袖を引っ張られた。

 「いくよ! 桜」
 「あ、あ、あぃ……」


 私は変な声がでたと同時に、里子に教室まで引っ張られた。
 

 「桜、あいつになにかされたらすぐいいなよ」
 「う……うん」



 里子の顔は、いつも以上に迫力があった。
 それだけいうと、里子はC組の教室へ戻っていった。



 でも……——
 森沢江実って、本当に悪い奴なのかな?
 なんか、普通に喋りかけてくれるし、格好はあれだけど。
 でも、なんか思ってたほど怖くないきがする。



 ボーッとしていると、いつのまにか休み時間になった。
 今度こそ、凛子たちのところへ……!!
 とおもったが、それは後ろから背中を突かれて、ふさがれた。
 振り返ってみると、そこには森沢江実がいたからだ。





 「次、最初の授業だよね? 何の教科だっけ?」
 「え、え、え、えっと……あ! 数学です」


 私が言った瞬間、森沢江実は、にっこりとした表情を浮かべた。



 「まぢ? ありがと〜」
 「……あの」



 何故か知らないけど、勝手に声が出ていた。
 やばっ……! なんなんだ。




 「?」
 「……里子のこと、知ってるんですか?」
 「里子? あぁ新垣ね」


 里子の話になると、突然森沢江実の顔は険しくなった。
 いつのまにか、私は自分の席に座っていて、その後ろには森沢江実が座っていた。



 「……まぁ、春中で強い奴ってことで、タイマンはしたことあるよ」
 「ど、どっちが勝ったんですか!?」
 「最初はうちが勝った。でも二回目は向こう。三回目は……ってかんじ」
 「そんなに、何回もタイマンするんですか?」


 なんか私、森沢江実に普通に質問攻めしちゃってるし。
 お〜自分なんか怖いな。



 「なんかぁ、向こうが何回も仕掛けてくるんだよ〜だから仕方なくやってあげてるだけ」
 「……でも、すごく仲悪いんですね」
 「ま、あっちが勝手にうちのこと、ひがんでるだけでしょ」



 そういって、森沢江実は伸びをして、あくびまでした。
 すると「つ〜かさぁ」と、私のほうにじろりと目を向けてきた。





 「なんで、敬語なの?」
 「えっ、いや……なんとなく!」
 「タメなんだし敬語やめてよ〜! 本当にうちのこと、江実って呼んでいいからね?」
 「あ、はい……うん」




 はじめて、この人に対してタメ口を使った。
 森沢江実……江実は、相変わらず穏やかな顔をしていた。




 「そういえばさ、桜って部活はいるの?」
 「……あ、同中のメンバーと軽音楽部作るつもり」
 「まぢで? バンドやるの?」



 急に、江実の目がキラキラ輝きだした。
 カラコンをいれている瞳が、さらに大きくなった。



 「うちは部活はいんないけど、実は他校の人とバンドやってるんだよ」
 「そうなの!? 何担当?」
 「ボーカル! やるのはまぁ、ロックかな。あ、でも軽め。重いのとか、V系はあんま好きくない」


 派手な格好なのに、V系は好きじゃあないのかぁ……。


 「うちはただギャルメイクが好きなだけ〜、V系まではいかない」



 そういって、江実は大声で笑い始めた。
 だから、つられて私も笑った。



 この人、全然怖くなんかないじゃん。
 良い人じゃん。