コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: +Rainbow Light Music+ ( No.66 )
- 日時: 2011/10/21 22:47
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: S86U/ykR)
第二十八話『虹色旅行記2』
空港まで桜の叔父さんが迎えにきてくれるというので、私達は荷物を置いてその場で待っていた。
十分かそこら立ったとき、向こう側からベンツの白い車がちらりとみえた。
ベンツは、私達の前でとまったかとおもうと、車窓からひょっこりと男性が顔を出した。
以下にも社長らしい、ちょびひげをはやした貫禄があるかんじの人だった。
奥には、若い男の人が運転席でハンドルを握っていた。
「おじさーん、乗っていい?」
「ああ、荷物は後ろにおいてな。健二、ちょっと開けてやれ」
健二と呼ばれた運転席の男の人が、車から出てくると、後ろのドアを開け、私達の荷物を置いてくれた。
それに続き、私達も一緒に車の中に乗り込んだ。
……やっば、高級そう……絶対汚したら弁償だあ。
少し緊張しつつも、私は車窓から外の景色を眺めることにした。
すると、車はゆっくりと発進しはじめた。
運転席と助手席の後ろには、桜と私と里子。
さらに後ろには、純也と健が座っていた。
車内には、軽快な音楽が流れていたため、会話がなくてもそう静かにはかんじなかった。
すると、里子が私の前に手をのばし、桜の、わき腹をつついた。
「ねえねえ、運転してるのって、例のいとこの人?」
「そうだよ」
「……めっちゃかっこよくなぁい? やば、超タイプ〜」
里子はそういって、目をきらきら輝かせた。
多分小声だから、桜と私にしか聞こえていないと思うけど。
「……健ちゃん今年十九だよ」
桜は呆れ顔になりながら、里子に向かって呟いた。
里子はさらに、ニヤニヤした表情にかわる。
「え〜! 年上でも全然……ふふふふふふふふふふふっ」
「あのぉ〜、俺たちの演奏聴いてもらえるんですか?」
里子の最後の笑い声が、響いてしまったためドキッとしたが、同時に純也が喋ってくれたので、ごまかせた。
すると、健二さんがミラーをみながら、答えてくれた。
「うん、丁度防音室にドラムがあるから、そこでいいかな」
「うぉーっ!! 楽しみにしてまっす!」
健も反応して、つい大声をだしていた。
私は再び車窓に目を向けた。
大きな家がみえた。
そのとき、車のスピードがだんだん落ちてきたので、多分ここが家なんだろう。
「さあ、ついたよ」
叔父さんがそういうと、車は完全にストップした。
皆がが車からおりると、荷物を降ろし、健二さんが車庫に車をいれはじめた。
すると、玄関から若い女性が二人やってきた。
「な、誰だあれ」
純也が小声で、桜に尋ねる。
「お手伝いさんだよ、なんか五人雇ってるってきいた」
「ひょえー! 息子の家なのに、五人も、ぎゃー!」
純也が変な声を出していると、お手伝いさんが近づいてきた。
「さあ、おあがりください」
「あ、はい、どうも……」
家の中にはいり、荷物を置いてもらうと、私達はそのままリビングの中に通された。
さすが社長の息子の家、というか、社長が建てた家。
このリビングだけでも、私の部屋の三つ分くらいはあるきがする。
テーブルのうえには、高級そうなお茶菓子が並べられていた。
健二さんも丁度戻ってきて、皆が席に座ると、お手伝いさんはどこかへ去っていってしまった。
「遠いのによくきてくれたねぇ〜」
「叔父さんが旅費も全部出してくれたからだよ、ありがとう」
「「ありがとうございまーす!!」」
桜に続き、私達四人も元気良く礼をした。
「まぁまぁ、さあ、これをお食べ」
「……そういえば、自己紹介してなくない?」
里子が、思い出したように声をあげた。
「じゃあ自己紹介をしよう」ということになり、まず健二さんがすくっと立ち上がった。
「千崎健二、大学生やってます、まぁ、よろしく!」
「健ちゃんは国公立の大学いってるんだよねー」
「あ、うん……」
桜の言葉に、健二さんがはにかみながら答えた。
「えーっ! 頭いいんだ、すごぉい!」
「……百屋凛子といいます、よろしくおねがいします」
里子のキャピキャピした声をさえぎるように、私はさっさと自己紹介をして見せた。
続いて、純也と健が立ち上がる。
「二十純也でっす! ギターめっちゃ自慢です!」
「新藤健です……よろしく」
そして、最後は里子だった。
「新垣里子でぇす! えっと、趣味はぁ、化粧とショッピングで、身だしなみはかかせません!
誕生日は十二月なので、今は高一ですが十五歳でぇす! あ、虹ヶ丘高校ってとこで、軽音部やってまぁす
みんなからはガッキーとか、さとちゃんとか、いろいろ呼ばれてますが、健二さんからは——」
「防音室ってどこにありますか?」
里子の長ったらしい、声の高い自己紹介にうんざりしたのか、健が健二さんに向かって尋ねた。
「え、え、あ、えっと……」
「ちょっと健! 人が自己紹介してんのに、口はさむんじゃねぇよ!」
「……うわ、ボロだしてやんの」
「あっ」
健に突っ込まれ、里子は思わず口を押さえた。
そして、リビングは爆笑の嵐につつまれた。