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Re:   +Rainbow Light Music+   ( No.67 )
日時: 2011/10/24 23:07
名前:   苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: S86U/ykR)






 第二十九話『虹色旅行記3』








 案内された防音室もやはり広く、パーティが開けるほどのスペースはあった。
 アンプと、シールドが既に置いてあり、もちろんドラムセットも堂々と居座っている。
 早速、ケースから楽器を取り出すと、演奏する体勢にはいった。自分じゃないもののアンプははじめて。
 



 ちなみにアンプとは、エレキギターやベースを弾くのに必須で、大きな音を出す為の機械である。
 シールドは、アンプと楽器を繋ぐもので、これがないと当然だが大きな音を出すことはできない。
 




 「よし、じゃあ早速聴かせておくれ」
 「なにをやるの?」




 叔父さんと健二さんがそう言いながら、パイプ椅子に腰掛けた。
 里子はセンターにたち、少し緊張した表情で曲名を答える。
 



 「JUDY AND MARYのDAYDREAMです」
 「へーぇ、高校生なのに結構昔のやつやるんだね」
 「……ジュディマリ、やりやすいんです」



 健二さんの呟きに、里子は丁寧に答えた。
 そして、私達に目配せをすると、健がスティックカウントを始めた。
 私も指を、ベースのフレットにそえる。



 「ワン、ツー、ワン、ツー!」
 


 桜のギターリフがはじまり、しばらくして純也のギター、私のベース、健のドラム、里子の歌が入った。
 私は、間違えないように慎重に、そしてリズムキープをしながら、ベースラインを奏でた。
 気持ちいいくらいに、透き通った里子の声が、私のベースラインをかけぬける。
 



 そして、気付いたら、演奏は終わっていた。





 「さすが!! 小学校のときからやってるんだって?」
 「はい、もう六年くらいになります」


 健二さんが拍手をしてくれ、純也も熱血に答えた。
 叔父さんはコーヒーを飲みながら、私の目をみた。





 「君は、凛子さん、だったかな?」
 「はいそうです!」



 私は急に話しかけられたので、びっくりした。
 


 「ちょっと、そのベースかしてごらん」
 「ど、どうぞ……」



 私はゆっくりと、叔父さんの手にベースを渡した。
 私にしては丁度のサイズだが、叔父さんが手にすると、やはり少し小さいように思えた。
 叔父さんは、再びベースをアンプにつなぎ、立ち止まった。





 場の雰囲気は、しーんとなる。








 次の瞬間、叔父さんはものすごい速さで、弾き始めた。
 しかも、スラップを使っている。



 「げ、え……? ちょ、叔父さん?」



 桜も目を点にしながら、叔父さんを見つめた。
 親指で弦を叩くスラップは、なかなか難しい。
 すると、叔父さんはこれまた速く、でもリズムをキープしつつ、なにかのベースラインを弾いた。



 最後は、二つ、三つ同時に弦を押さえ、演奏は終了した。






 「……っ、すごいです、どうしたんですか?」




 私は拍手を送り、思わず聴いてしまった。
 すると健二さんが答えてくれた。





 「親父は若い頃からずーっとバンドを組んでいて、かなりの腕前のベーシストだったんだよ」
 「へーぇ! すごいですね、意外です!」


 里子が、目を見開いて、叔父さんをまじまじみつめた。



 「いや、久しぶりにみたらちょっと触ってみたくなってな……凛子さん、ありがとう」
 「あ、いえいえ……」



 私は、自分のベースがこんなにも多彩なメロディを奏でれるのか、とおもうと驚きが隠せなかった。