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Re:   +Rainbow Light Music+   ( No.69 )
日時: 2011/10/26 21:08
名前:   苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: S86U/ykR)





 第三十一話『虹色旅行記5』






 返信がきたのは、朝の十時ごろであった。
 私は、着信音が鳴り響くと共に、携帯を開いた。
 里子と桜も寄ってきて、画面に釘付けになる。



 −−−−−−−−−−−−−−−


 今、朝練終わった(^-^;)
 そうだな〜
 ストラップが壊れちゃって
 つけるものがないから
 それがいいかな?
 なかったら、なんでもいいよ!

 −−−−−−−−−−−−−−−



 「よし、凛子! ストラップだよ」
 「了解!」



 私は真剣な眼差しになった。
 好きな先輩へあげる、はじめてのお土産。
 はじめての、プレゼント。



 なんて心踊る響きなんだろう。






 私達は、北海道を満喫した。
 叔父さんが経営している牧場にいかせてもらったり、おいしい料理を食べたり。
 もちろん街に出かけて、色んな店をみてまわったりもした。
 北海道といえ、夏は夏だから海にもいったりした。
 青春の一ページ、純也がいってたときは変な言葉とおもったけど、今は本当にこの言葉が似合うと思う。




 そして、ついに地元は帰る日、私達は車で空港にやってきた。
 私は慌ててお土産コーナーをみにいった。
 


 「これよくない?」
 「いや、こっちのほうがいーよ」
 「これは?」



 純也と健までもが一緒に探してくれた。
 っていっても、目的は自分達が渡すお土産を買うことなんだけど。
 試行錯誤悩み、私はついに決めた。



 「ありがとうございましたー!」




 店員の声を聞きながら、私は紙袋を見つめた。
 このなかには、ご当地キャラクターのストラップがはいってる。
 私は、携帯を開くと、先輩にメールをした。





 「皆、そろそろ飛行機の時間だよ」
 「えっ!? もう?」



 健二さんの忠告に、桜が大きな声をあげた。
 しかし、桜はすぐにシュンとした表情になった。



 「……今度は健ちゃんがきてよ、あっ、お正月に皆いっぱい集まるからさぁ」
 「ああ、是非ともそうさしてもらうよ」
 「健二、元気でな」



 叔父さんも、健二さんの肩を抱きながらそういった。
 叔父さんの実家は、私達の住んでる近くなので、一緒にかえることになっているのだ。
 


 「大丈夫だ親父、子供じゃあるまいし」
 「とはいっても心配でな……」
 「北海道なんてすぐそこだよ、1時間やそこらで着く着く」


 健二さんは、父親を安心させたいのか、そういっていた。
 里子もさっきから、ずっと元気が無い。



 「……健二さん、絶対またきますんで!」
 「うん、まってるよ」



 健二さんはそういって笑うと、時計に目を移した。
 


 「ほら、もう時間が迫ってくるから」
 「……ばいばい! 健ちゃん」
 「ありがとうございました!!」
 「またな! 健二」



 私達は思い思いの言葉を叫ぶと、手を振って、飛行機へとむかった。
 ……私を含め、みんなが何度も振り返った。
 永遠の別れではないはずなのに。




 飛行機に乗ると、機内は意外とシーンとなっていた。
 時折聴こえる話し声や、子供の声がこだまするだけだ。
 私は、ちらりと隣を見た。




 叔父さんは、不安げな目をして一点を見つめていた。
 多分、息子のことがきっと心配なんだろう。





 ……でも、すごいなぁ。
 十九歳にもならない人が、遠い地で一人暮らしなんて。
 たとえお手伝いさんがいたとしても……。




 私は、将来どうなるんだろう。
 一人暮らしとかしてんのかな?
 まさか、ずっと独りってことはないよね?






 そうおもいつつも、私はヘッドホンをつけると、深く目を閉じた。
 聞こえて来るクラシックミュージックと共に飛行機は、次第に上昇していった。