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Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.1 )
日時: 2011/07/22 01:06
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)

一章、【黒炎の魔術師】紅凪黎


・・・世界に【魔法】という存在が生まれたのは、俺が生まれるはるか前からだったとかいう。
それが正式にはいつのものかはわからないが、とりあえずは、ずっとずっと前、俺が生まれる前、今の国とかが築かれるずっと前にあったことはたしかだという。
それを知っている国々はまぁその魔法の力なんなりを使って様々な戦争を繰り広げ・・・まぁいわずともがな、魔法の技術が進んでいた国は強く、魔法の技術が進んでいなかった国は弱く、弱い国は次々と強い国に食われていき・・・そして今現在、俺が生きるこの時代でも・・・、そんなばかげた戦争が繰り返されているのだという。
この世界の中心から、少し東にいったあたりに存在する大国・・・【ミカヅキ】王国は、はるか昔から独自の魔法技術を発展させてきて、普通の市民も、【魔法教育施設】というところに行けば、才能しだいでは相当強い【魔術師】になることも可能なこのご時世になってしまっているのだ。
大人から子供まで、どんなやつらでも魔法が使えてしまうこの時代で・・・この俺、紅凪黎は、かなり異端者ともいえよう。
まぁ簡単にいってしまえば、魔法には属性っていうものが存在していて、使うものにとっては、多少得意不得意があっても、ひとつの属性に絞られるっていうことはないのだ。つまりだ。その属性のだいたいすべてを普通の人なら使えるはずなのだ。だがしかし・・・どうしてか、俺にはひとつの属性しか使えないらしかった。
それを自分が知ったのは・・・まぁ、今十六歳だから・・・二年前、ちょうど俺が、親にいわれて【魔法教育施設】に言って、簡単な試験を受けて・・・その後にやった、実技試験で———俺は、【炎】の属性ひとつしか扱うことができないということが、わかったのだ。
当然、それはこの国が生まれてから初めてのことだったらしかった。魔法というのは誰でも扱うことができて、誰でも少し知識があれば使えるもので・・・誰でも、簡単に、三つ以上の属性を扱うことができるはずだったのに・・・俺にそれはできなかった。
まぁ、そういうことだからといって、別段俺が嫌われ者だとかそういうわけでもない。まぁその当時、俺がひとつの属性しか使えないと知った当時にはまぁいろいろなことがあったけど・・・今ももう落ち着いているし・・・まぁそれでも、俺はもう二度と魔法を使わないって決めているんだけどな。
時刻は朝の七時。すぐにやめてしまった【魔法教育施設】に登校する時間は間じかに迫っているが、俺にはそんなこと関係ないので、やっとの思いで俺は体をベットから引き剥がす。なにも音を発さない目覚まし時計を見ながら、今日はなかなか早く起きれたな、とか思いつつ、ベットから抜け出す。
電気のついていない自室。五畳にも満たないこの部屋の移動は実に簡単なものだ。まず最初にちょっと歩いてドアをあける。そしてでる。
ただそれだけである。
廊下にでた俺は、自分の部屋の隣にある・・・妹の部屋をチラッと見てみる。妹・・・紅凪由比は、今月・・・夏も終わり、冬に備えて着々と準備を始めているこの秋という季節・・・十月に、十四歳の誕生日をむかえた、俺の実の妹である。だけど・・・妹は、俺とは違い、魔法の才能があった。俺と一緒に試験をうけにいって・・・俺に才能がない・・・俺は異端者だ、と絶望しそうになっていたとき・・・同じ血のつながった家族だというのに・・・ちょっと魔法の使い方を教えてもらっただけですぐに上達した妹を見て・・・なんとか俺は、絶望せずにすんだのだ。同じ家族でも・・・こうも違うんだと見せ付けられても・・・自分が今まで大切にしてきた妹が、輝かしいばかりの才能をもっていることに対する喜びが・・・、俺の絶望を、断ち切ってくれたのだ。
まぁ勝手にいってしまえば、俺は妹に助けられたといってもいい。命の恩人とまではいわないけど、とりあえず・・・そんな由比は、今日も【魔法教育施設】に登校するために、もうリビングで朝飯でも食っているところだろうから・・・俺もいかせてもらうとしますかね。
【ミカヅキ】王国の東区域の中心部あたりにある俺の家は・・・両親がなんかしらないけどはりきって金をためて、一年前に買ったばかりの新しい家である。まぁ二階建てで、広さは保障できないが・・・とりあえず、だ。前々から東区域で暮らすことが夢だったらしい両親たちは、それでもよかったらしかった。なぜ東区域に暮らすことが夢だったのかとかはまぁ聞かないでおいているからしらないとはいえ・・・由比にとっては、ちょっとそれは喜ばしくないことだったらしいんだけどな。
東区域にある【魔法教育施設】は、そう、前に暮らしていた中心部よりもせまいというか・・・なんというか、荒れているのだ。教育方法自体が、生徒自体が・・・荒れているのだ。そのせいでいじめとかいろいろな事件が発生しているのを、妹の口から何度か聞かされていて、俺てきにはもう妹をそんなところにはいかせたくはないのだが・・・まぁ、由比の夢っていうものも尊重しないといけないから・・・な。
俺は、二階にある自室から、リビングにいくために階段を下りる。階段を二段飛ばしで下りた後、リビングへとつながる廊下を進み・・・リビングに入るためのドアをあける。

「あっ、お兄ちゃん今日ははやいんだねー」

「おうっ!!黎!!今日は朝早いんだな!!なんならどうだ・・・父さんと朝のランニングでも・・・」

「断固拒否させてもらう!!朝から暑っ苦しい・・・それと由比、おはようさん」

「はい、おはようさん〜」

「・・・なぜだ!!なぜこの偉大なる父を目の前にして貴様はおはようという簡単な挨拶をせんのだ・・・!!」

「あ〜・・・なんだ、父さん」

「なんだい、我が息子よ!!」

「おやすみ」

「おう!!おやすみ・・・って黎よ・・・お前・・・なんか違うぞ・・・?」

「気のせい気のせい」