コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.3 )
- 日時: 2011/07/22 14:45
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
「あのね・・・今回のはね、ちょっと違うんだ」
「ん?なにが違うんだ?」
「あのね・・・今回のは・・・」
「あー・・・わかったわかった。つまりあれだろ、お前が俺のことを誰かにいわれて売り言葉に買い言葉になって、俺は異端者だけど弱くないとかそんなことをいって、喧嘩になって、なんなら証拠を見せてみろっていわれて、困っているっていう感じなんだろ?」
「う・・・うん」
どうしてわかるの?と言いたげな顔をしていたが、まぁ、だいたい予想はつくさ。異端者である俺のことを馬鹿にしたければ、まずは妹を経由しなければならない。普通そんな手間のかかることなんてやらないだろうけど、まぁあれだ。ちょっと素行の悪いやつらが集まる東区域の【魔法教育施設】は、馬鹿ばっかだし、そんな手間とか気にしていないのだろう、というよりも、異端者である俺を倒して、ちょっとしたヒーローになりたいやつが多いんだろうね。まぁあれだ・・・異端者っていうだけで忌み嫌われることにはなれちまっているから、気にしないけど、俺のその想像が的中するとは思っても見なかったね。まじで俺のことを倒したい馬鹿がいるとはね。
ま・・・そうと決まれば、だ。
「しょうがねぇなぁ・・・じゃぁ魔法を使わないでどれだけ俺が戦えるか、由比に見せてやるよ」
と、笑いながら俺は言う。
ま、そういうことだ。俺はあくまでも魔法は使わない。その理由は前々からいっているからもう十分だし、わざわざ誰かに見せるほど特別な力っていうわけでもない。だから、使わない。俺の唯一使える属性である【炎】の魔法も、そこまで強いわけでもなく・・・普通に【魔法教育施設】に通っていて、毎日魔法の特訓をしているようなやつらに、すぐに諦めてしまった俺が、魔法で勝てるわけないし、使う必要もないっていうか、使っちまったら逆に由比を失望させてしまうだろうから・・・俺にとっては、そっちのほうが好都合なのだ。
「・・・あれ?なんかちょっと違うような気もするけど・・・ま、いいか。とりあえずがんばってね!!お兄ちゃん!!」
「まかせとけって」
ま、普通に考えて魔法を使うやつに素手で挑もうものなら確実に負けに行っているのと同じようなものなのだが、愛しい由比にがんばってといわれてしまっては・・・もうあれだ。がんばるしかなくなってしまったな。
とりあえず、そんなこんなで・・・だ。今日の予定はいろいろと狂わされちまったけど・・・まず最初に、オーナーに連絡するか、と考えながら、俺は食パンをほおばるのだった。
「えへへ・・・」
「・・・?どした?なんかうれしいことでもあったのか?」
「なーんでもなーいでっすよー」
朝の通学路・・・【魔法教育施設】は一言でいってしまえば、学校のようなものだ。といいつつも、俺はその学校に通っているわけではないから由比がどんな道を使っているのはまったく知らないのであって、今通っている道・・・家から五分ぐらいしたところにある、俺がいっつも進む道ではなく、枝分かれになっているほうの道を進んでいるので、ちょっと俺は困惑気味だったりもしている。だって初めて通る道なんだもの・・・。
由比は、区域指定の【魔法教育施設】の制服を着ていた。その制服は・・・なんていうんだろうね、黒を基調とした、ブレザータイプの制服だった。スカートも赤黒い色をしたプリーツスカートで、それを完璧に着こなしている我が妹は、兄目線から言わずとも、「かわいい」といえよう。親から引き継いでいる、明るい茶色の髪の毛。一度もその髪の毛は染めたことがないため、そこらへんにうろついている髪を染めたやつらなんかよりもいっそう輝いているようにも見える。顔立ちは十人中十人がかわいいというであろう、小さくてかわいい顔。目はパッチリとしていて、鼻筋は綺麗に整っている。最後に、桜色の小さな口が、よりいっそうかわいらしさを強くアピールしていた。
身長はなぜか母親からも父親からも受け継ぐことはなく・・・あれだ。小さい。十四歳女子で145cmっていうのは小さいのかどうか俺にはわからないことだが、とりあえずれが店のなかでよく見る【魔法教育施設】の女子生徒さんたちよりは小さいことは確実である。
ま、そごかわいいんだけどな。
そして、その妹様はなぜかご機嫌なご様子で・・・俺もちょっと、気分がよくなってきたような気がする。
冬という季節に近づきつつあるこの季節の朝は、一言いって寒い。だからといって、日光がないわけでもなく、俺たちはなるべく影になっていない、暖かい場所を選んで歩く。朝の七時五十分の空は雲ひとつなく、透き通っている。風は少しだけあるが・・・それも気にならない。なんともいえない、快晴だった。・・・ふむ、今日もいいことがありそうだな。・・・別に昨日いいことがあったわけじゃないけどな。
・・・っとそういえば、だ。今思ったんだけど
「そういや俺、私服できてよかったのか?」
今から行く場所は仮にも学校である。いくら荒れているとはいっても、ちゃんと制服があるわけで、生徒という存在があるわけで、部外者である俺が、普通に来ちゃってよかったのかは結構気にしないといけない問題のひとつである。
だけど由比は
「え?べつにいいんじゃないかな?だってあそこ・・・普通にだっさーい私服で来ている男子いっぱいいるし」
「うぐっ・・・ださくてすいません」
「え!?お兄ちゃんはべつにださくなんかないよ!!むしろ何きてもかっこいいよ!!」
なぜか俺は、ださいという言葉に反応して謝ってしまったのだが・・・よかった。俺は由比にとってかっこいい兄でいられているのか・・・それならまだ俺は元気でいられるな、うん。
「ま、そういうことだからお兄ちゃんは私服で大丈夫なのです!!」
「ならいいんだけどな」
・・・まぁ、そのだっさーい男子とおんなじ分類に入ってしまうというところがなんというか尺だが・・・別に俺は妹以外の女性に好意をもってもらおうだなんて思ってもいないし、関係ないことだな、うん。というよりも・・・こんな俺に好意をもってくれるのは、由比だけだからなぁ・・・現実逃避してもしょうがないけど、とりあえず今は・・・別に行為をうけようとは思ってもいないしもってほしいとも思わないからいいか。