コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.4 )
- 日時: 2011/07/22 15:10
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
「なぁ由比」
「んー?なぁに?」
「由比ってさ、えーと・・・なんだっけ・・・あれだ、前回の東地区【魔法施設トーナメント】で何位だったんだっけ?」
「あ、そっか。そういえばお兄ちゃんにはまだいってなかったね・・・といっても、別に自慢できるような順位じゃなかったから言わなかっただけなんだけどね・・・」
「んで?結局何位だったのよ?結構優秀なんだろ?由比は」
「自分でいうのもあれだけどね〜、私は優秀なのですよ!!」
「うん、じゃぁその優秀さんはいったい前の大会で何位だったのかなぁ〜?」
「なんと・・・五百十八人中・・・七十一位だったのです!!」
「・・・おい、なにが自慢できない順位だって?」
ちなみに、【魔法施設トーナメント】というのは、その施設での最強、最優秀者を競って争う、半年に一回行われる大会である。当然のごとく、その参加者はその施設の生徒たちで、努力しているものは当然のように上に上り詰めていき、努力をしていないものは、半年でその順位を下に落としていってしまうという、いわば努力と才能を見極めるテストのようなものだ。この大会は、十二歳から参加可能で、十八歳までが参加上限だ。もちろん、年齢制限はその十二歳から十八歳の間まではなく、大会には、十二歳から十八歳までの生徒たちが、全員でているということになり・・・由比は、たった十四歳にして、その年上たちを何人も打ち負かしているということになる・・・ということだ。
それは確実に・・・由比には才能がある、努力をしているということをあらわしているものであることは明確だった。
「うーん・・・でもね、でもね?」
「ん?」
「次の・・・来月にある大会は絶対に上位五十位以内に入ってやるんだ!!」
「おぉ!!それはなかなかに高い理想をもってるんだな・・・ま、無理しないようにがんばれよ?」
「ハッハッハ、応援ありがとう!!諸君!!」
「・・・それ、なにキャラ?」
そんな無駄な話をハイテンションで繰り広げながら俺たちは・・・家をでて十五分、ようやく見えてきた【魔法教育施設】へと、足を踏み入れたのだった。
当然のように、俺はこの施設に入ったことがない。というよりも、前の中央の施設にすら、俺は一度しかはいっていないため、基本的に【魔法教育施設】というのがどういうものなのかわかっていないのが現状である。
道行くところには、由比と同じような格好をした女子とか、私服をきたちょっと超とのっているふうな感じの女子とか男子とか・・・制服をきて登校しているやつらは、基本的にまじめなグループらしい。それでも、私服を着ている生徒はものすごく目立つ。なんたって・・・その人数が多いのだ。
いってしまえば・・・俺が今まで見てきた生徒を百人と数えよう。そしたら、その三分の二はだいたい私服で来ている生徒さんたちだったわけで・・・わかるだろう?ここがどれだけ荒れていて、どれだけ・・・由比に悪影響を与えてしまう場所かっていうことが。
そうとわかった以上、兄として・・・
「由比、いますぐ俺は一緒に中央区域に二人だけで行こう」
「ふぇ!?・・・ど、どうしたの?お兄ちゃん」
ひしっ、と由比の両手を包み込んで、真剣なまなざしで由比にそういう。すると由比は、ちょっと恥ずかしそうに目をそらして・・・それでも、別に俺のことを拒もうとはせず———ああ、だめだだめだ。今はそんなどころではない!!
「俺がお前を養ってやる・・・俺がお前を立派な女の子に育ててやる・・・だから・・・だから!!俺と二人だけで暮らそう!!」
「ふええぇぇぇ!?ちょっ・・・ちょっとお兄ちゃん!?いきなりどうしたの!?あの・・・その・・・二人きりって・・・お兄ちゃんのことはたしかに好きだけど・・・それでも・・・世間体というものが・・・」
「そんなもんしったこっちゃねぇ!!俺はお前を———」
「おー、ゆいにゃんおっはよー!!」
俺が、自分の人生なんかよりも大切な話をしていたところで・・・突然俺のわき腹に鋭いけりがくりだされる。危険を察知した俺はすぐさまその足をかわすべく由比の手を放してそのままバクテンして後ろに下がる。そのまま俺は次の攻撃に対する臨戦態勢をとろうとするが・・・さきほど俺をけろうとした相手が、女子・・・それも、由比に仲のよさそうな感じでしゃべりかけた女子だったので、やめた。
「え・・・えりなさん、お・・・おはようございます」
「ハッハッハッ!!硬い硬い!!だけど・・・あぶなかったわね・・・ゆいにゃん。もうすぐであの男の毒牙にかかるところに・・・」
「あのー・・・」
「もしもあたしがゆいにゃんの立場だったら・・・すぐにあいつの鳩尾に拳に叩き込んで相手がよろめいたところで踵落としで脳天勝ち割ってやるのに・・・」
「えーと・・・えりなさん!!」
「ん?どったの?あたしの愛しいゆいにゃぁん」
「うっ・・・え・・・えっとですね?えりなさんが今蹴ろうとしたの・・・私の、お兄ちゃん、なのです」
「お・・・お兄・・・ちゃん?だと?」
「は・・・はい」