コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.7 )
- 日時: 2011/07/25 23:06
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
よしよし、とえりなさんが由比をなでる。由比はちょっとだけ涙目になりながらも、なんとかそれを我慢しているような感じだった。・・・うーん、由比が泣き虫になったのは二年前・・・ちょうど俺と喧嘩したときあたりからだから・・・これも俺に原因があるのかな?とか俺は場違いなことを考えながらも、二人の様子を見守ることにする。・・・というより、俺のことを妹にいったやつはどうやら長井とかいうやつらしいな。ま、そいつがどんなやつかはしらないけど、妹を困らせたりするようなやつなら制裁を加える必要があるな。
「ま、なんにしても、だ。黎さんは絶対に長井のくそには負けないだろうね。強さが違いすぎる」
「ん?まてまて、俺の戦う相手って魔法使うんだろ?だったら俺のほうが弱いから、俺が絶対に負けるの間違いじゃないか?」
「・・・おっと、自覚無しのタイプときた。こりゃまた・・・大物なのか馬鹿なのか・・・よくわかんないですねぇ」
「?」
意味深な言葉をえりなさんは吐き捨てる。その言葉を俺は当然理解できなかったが・・・とりあえず、気にしないでおくとしようか。
「でもまぁ・・・一回ぐらい実戦をしておいたほうがいいんじゃないかな?」
「・・・実戦?」
「そ、あたしと黎さんで、一度戦ってみるって言うのはどうかなっていう提案なんですけど・・・もちろん、ハンデはつけますよ?」
実戦をする・・・か。まぁいいかもしれないな、日ごろあんまり運動していないから、ちょっくら体が動くかどうかも心配だけど、とりあえず最初にえりなさんの攻撃になんとか反応できたから、とりあえず大丈夫だろう。それに・・・最初から本番だと、ちょっとつらいかもしれないからな。
それにしてもハンデ・・・か、ふむ
「そうだねぇ・・・たとえば、あたしが魔法を使わないって言う条件で———」
「まぁまてよ・・・ハンデっていうのは戦いを公平にするためのものだろ?だったらべつにそんなもんはいらないじゃないか?」
突然の俺の提案に、えりなさんが目を丸くする。由比も、えりなさんのたわわな胸にうまりながらも驚いた風な顔をする。そりゃそうだろう。魔法も使えない俺が魔法を使う相手にハンデなしの戦いをしようといったのだ。これはどんな歴戦の戦士でも、絶対にやらないような行動のはずだが・・・といっても、歴戦の戦士の場合相手にするのはエリート中のエリートの魔術師だけで、こいつらはまだ見習いだからそのたとえはちょっとあってないような気もするけど・・・とりあえずはそれとおんなじぐらいにありえないことなのだ。
魔法というのはなにもない空間から炎やらなにやらを生み出して、自分の好きな形にして攻撃をできるものなのだ。それはたとえば剣になったり、槍になったり、銃になったり、盾になったり・・・というふうに、さまざまな形に変形をしたり攻撃をしたりできるのだ。それを素手で相手にすめということは・・・無謀中の無謀といってもいいだろう。
だけど・・・結局のところな。えりなさんと戦った後にもそんな無謀な戦いをしないといけないわけなので、ここでやったところでさほど結果はかわりないだろう。
「・・・黎さん、ハンデ無しっていうことは・・・あたしは魔法を使うって言うことですよ?」
えりなさんがそう俺に問いかけてくる。それ以外になんの意味がわかるのかはわからないが、まぁそれだけ動揺しているってことなのかな?
「ん、オーケーオーケー。俺は魔法を使わない、えりなさんは魔法を使う。それが実戦をやる最低限の条件だな」
「ちょ・・・ちょっとお兄ちゃん、正気なの?あとで戦う長井君はそこまで強くないからいいんだけど・・・えりなさんは、ほんとに強いんだよ?」
「そうですよ黎さん。もしも強がってそういっているようなら・・・あとでかならず後悔しますよ?」
・・・まぁ、由比の実力がどれくらいかもわかっていない以上、えりなさんの実力もわからないんだけどな。
「うーん・・・いや、それでも俺は素手で、えりなさんは魔法だ」
「お兄ちゃん・・・」
由比がちょっと心配したような目でこちらをみてくる。それに俺は大丈夫大丈夫、と笑って返してやりながら、えりなさんの反応を見る。
えりなさんは、ちょっと困ったような反応を見せてから・・・さすが兄弟、似ているところは似ているのはと小さくつぶやいて
「いいでしょう、じゃ、ゆいにゃんはちょっとさがっててね〜ん」
こちらを真剣なまなざしでみつめる。
由比はえりなさんに促されるがままに後ろにさがり、俺たちの戦闘でおそらく被害がでないであろう場所まじ移動していく。ふむ・・・戦闘する場所の広さは上々、なかなかにコンディションがいいな。地面もジメジメとしていないし、どちらかというとサラッとしているから、やりやすい。これなら・・・たぶん、本気をだせるだろうな。
そう・・・さきほどから俺がいっている【本気】というのは・・・俺が今まで、【異端者】だと馬鹿にされ続けてきたこの二年間で見出した・・・魔法を使うものとの戦闘においての極意ということだ。つまり、俺は———その極意を体得している。いっちゃぁなんだけど、その極意を教えてくれたのは———なにをかくそう、【キャッツファィヤー】のオーナーさまなのだ。
昔、オーナーさんも魔法を使っていたのだという。だけども、どういう理由かはわからないけれども、オーナーは魔法という力にひどい恐怖を感じたのだという。そのときからオーナーは魔法には一切手をつけなくなり・・・かわりに、魔法を使うやつとと戦って勝つ方法とか、どんな力をつければ魔法をつかうやつに負けないだとか、いろいろなことを考え、試行錯誤して———ついに見出したその【力】を、【異端者】だといわれていた俺に———すべてを教えたのだ。その【力】をどういうふうに活用するのか、どういうふうに使うのか・・・その極意をすべて、俺に教えてくれたのだ。だから———まだ実戦はあまり経験していないが、オーナー直伝のこの・・・【対魔殺】という極意があるから———それなりに、自信はあるっていうわけだ。
「じゃぁはじめるよ?黎さん・・・」