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Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.8 )
日時: 2011/07/26 14:36
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)

えりなさんが、俺が臨戦態勢をとったことでようやく戦闘態勢にはいる。・・・右手を前につきだして、左手を後ろに隠すというその構えはおそらく、えりなさんが右利きだということをあらわしている。右利きだっていうことは・・・おそらく、打撃系等の魔法を多く使ってくることは間違いないはずだ。その理由といってはなんだけど、この国【ミカヅキ】王国の人口四十五万人のうち三十八万人が【魔術師】で、その【魔術師】たちの多くが右利きで、その右利きの人はだいたい打撃系等の魔法を使うという統計結果がでているからだ。それを信用するか否かは別として・・・そういった情報があらかじめあってくれると・・・俺も助かるっていうわけだ。

「んじゃ・・・ちょっくら暴れますかね」

「手加減は無用でいきます・・・【天雷に導かれし我が呼び声に答えよ・・・雷鳴剣・絶】!!」

突然動きだす戦い。えりなさんが右手を一度天に掲げ、その言葉を口にすると・・・その手に黄色い光が集まり———バチバチと音を立てる、一振りの剣にかわった。その剣はえりなさんの身長の半分ぐらいの大きさしかなく、どちらかというと衝突剣の類の武器だったが———その危険度は、半端ではないものだった。
雷属性の魔法と打撃魔法をあわせること・・・つまり、その一撃をあいてに与えるだけで、火傷ではすまないほどのダメージをあたえることができるのだ。ある意味では・・・炎とか水とか氷とか・・・そういった類の魔法と打撃魔法をあわせるより、雷属性の魔法をあわせたほうが高威力なのだろう。だが———俺、というよりも、普通の魔法を一度でも噛んだことのある人なら知っている。雷属性と打撃魔法をあわせて攻撃すると———自分に対するダメージも、それなりにあるということを。
捨て身のその攻撃・・・俺が延々とかわし続けていれば相手の体力が底を付いて倒れてしまうという倒し方のほうが、効率はいいのかもしれない。だけどもこれは真剣勝負———別に命をかけて戦うわけではないが———真剣勝負の時において、尻を巻いて逃げ回るという行為は、相手を侮辱する行為でしかない。
ならば———と、俺は足をふみだし———一気に間合いを詰めた。

「なっ・・・」

予想以上の俺の速さにえりなさんがびっくりするが、すぐに対応してその雷鳴剣とやらを振るう。だが俺はそれをひらりとありえない方向に体をひねらせてかわして、そのまま反撃にうつる。
まずは足払いをかける。えりなさんはすぐにそれに反応してジャンプをするが、足払いに使ったほうの足を俺はそのままいきおいよく上に跳ね上げさせて、左手だけで体全身を支えて思い切り上に蹴り上げる。完璧にあごをねらった一撃だったのだが・・・えりなさんは雷鳴剣を宙に思い切り振ることによって生まれる反動を利用してその攻撃をかわす。・・・ほう、これはなかなかだな。
えりなさんは反動で後ろに吹っ飛んでいくが、空中で体勢を整えた後、綺麗に着地する———今ならすきが大きいな

「ちょ・・・はやっ・・・【天雷を拒絶する神鳴の剣・・・雷冥剣・虚】!!」

「うおっと!!」

再び俺が間合いをつめてきたことにいち早く反応したえりなさんは新しい魔法を展開して、さきほどまでだしていた剣を消去して・・・さきほどの剣よりでかい、といっても細さはあまり変わらない・・・太刀タイプの武器を生み出す。それもやはり雷タイプの魔法だが・・・危険度がさっきとは半端じゃないほど違うぞおい。
俺はえりなさんがふりかぶったのをみてすぐに体を後ろに一回転させてかわす。ふぅ・・・あぶない・・・ってそれよりもだ。

「えりなさん・・・太刀タイプの魔法は人を一撃で殺せるぐらい力あるんだからなにもここで使わないでも———」

「あら黎さん・・・?これは真剣勝負ですよ?ずるいとか言わないですよね?」

「・・・フン、後悔してもしらねぇからな?」

えりなさんはニヤリ、と笑ってからそう言い放つと、太刀を振りかぶる。それに俺は虚勢をはってそんなことをいうが・・・太刀タイプの魔法は俺の【対魔殺】と相性が悪い。リーチが長いぶん扱いにくいことがたちタイプの魔法の欠点なのだが・・・素手の相手と戦う場合はそのかぎりではない。その長いリーチを利用して相手を近寄らせない・・・近寄ってきたらその瞬間にぶった切るという・・・とにかく近づけないのだ。その上相手は魔法で、剣を振るったりなんなりするだけで衝撃刃を生み出したりなんなりできるわけで———

「【雷刃】!!」

えりなさんは俺から十分な距離をとったあとその振りかぶっていた太刀を思い切り振り下ろす。おっと・・・いっている傍から衝撃刃か・・・まぁ、その類の魔法なら———

「はあぁっ!!」

俺は思い切り腕を振りかざし———手刀を、できる人にしかできない速さ・・・つまり、音速以上の速さで振るう。そのことによって、俺が手刀をありえない速度で振るったことによってそこに鎌鼬が生まれる。その鎌鼬は勢いに乗ってそのまま衝撃刃にむかって真空の刃を進めていき———互いにぶつかり合う。

「ちょ・・・鎌鼬って———黎さん、あなた本当に【魔法】使ってないんですよね!?」

「ああ!!俺は【魔法】なんてつかってないんだぜ!!」

というよりも・・・オーナーから教わった【対魔殺】そもそもが魔法みたいなものなのだが、それとはまたちょっと違うらしい。別段属性という理が存在しているわけでもないし、魔法のように打撃武器として扱うこともできなければ、環境が悪い状況だと使えないことが多いのだという。今の鎌鼬もそうだ。暴風とかが吹き荒れているとき使ったってなんの意味もなさないが・・・今日のように、風が弱く、コンディションがよい日だと・・・魔法にも匹敵するぐらいの力をもたせることができるのだ。
まぁ、一言でいってしまえば、自然と自身の力を大きく使う術・・・それが【対魔殺】なのだ。
ま、俺もオーナーに比べればまだまだなんだけどね。
鎌鼬と衝撃刃は互いに互いを拒絶しあい消滅する。俺はその瞬間を狙って一歩———踏み出す。その一歩は普通の、【対魔殺】を習っていない人間なら絶対にだせないであろう速度で、十分に距離をとっていたはずのえりなさんのところまで一瞬にしてたどりつく。えりなさんはあっというまの出来事に反応が少し送れ・・・だけどもさすがはエリートさん。すぐにきりかえて雷冥剣とやらをふりかざし———俺の右肩を狙って放たれる。———むやみに頭を狙ってうけとめられたりかわされたりするよりも・・・利き手であるほうの肩を狙って放ったほうが、たとえかわされたとしても、相手はすぐに攻撃に移ることができなくなる———か。えりなさんはやっぱりエリートのようだな。
なかなかに戦いの術っていうものをわかっているらしい。・・・ま、そんな見え透いた攻撃は食らわないんだけどな。