コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.9 )
- 日時: 2011/07/26 23:18
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
俺は体を左に反転させる。えりなさんの剣はみごとに宙を引き裂いて、だが勢い余ってそのまま前のめりになる。その瞬間を狙って俺は、えりなさんの剣をもっているほうの手首あたりを右足をつかってちょっと弱めに蹴って、剣を握る力を奪う。そのまま俺はえりなさんの後ろに回り込んで両腕を押さえ込んで———
「これでわかってもらえたかな?俺がハンデいらないっていった理由」
そう笑いながら言い放つ。えりなさんは一瞬悔しそうな顔をしたけど———ってあれ?なんかちょっと目じりに涙たまってません?ちょ・・・俺女の子泣かせちゃった!?おいおいそれはまじでかんべんだ・・・っ!!
「ま・・・まぁえりなさんはかわいいしかっこいいし綺麗だし強いし・・・俺がもしも普通の魔法を使わないただの人間だったら勝ててただろうけど・・・うん、相手が悪かったんだよ、だからえりなさんはなんも悪くないよ、うん・・・」
だがどうしよう、俺が言葉をはくたびにどんどんえりなさんの表情がくずれていく。俺はあわててえりなさんに使っていた拘束技をといて離れて土下座をする。いや・・・ね、だってさ、女の子泣かせるのって相当ひどいことだと思うし、どうやら言葉だけではもうだめなようだったからな。
「お・・・お兄ちゃんの・・・勝ち?」
後ろから、勝負の行方を見守っていた由比が顔を覗かせるが、すぐにえりなさんが泣きそうな表情になっていることに気が付いて、えりなさんのもとにかけよる。そしてえりなさんはまるでそれを見計らっていたかのように・・・
「ゆいにゃああぁぁん・・・負けちゃったよおぉぉぉ!!」
となんかもう泣いているのかうれしがっているのかよくわかんない声をだしてゆいに抱きつく。由比はそれに困っような顔をするが、いつものこと・・・なのだろうか、別段切り捨てたりはしないで一生懸命あやしている。
・・・うん、これってさ———俺の勝ちだよな?
そう思いつつも、なんとなく負けた気分になっている俺であった。・・・くっ、俺も由比にあんなふうに抱擁されたいぜ。
「・・・黎さんは確実に長井のくそには勝てますね。あたしが保障します」
という言葉をもらったのはさきほどの戦いが終わってから五分後。えりなさんが由比の胸で・・・なんかにおいをかいでハァハァしている時間だけでそんなにくっちまったんだとか思いつつも、俺はふと疑問に思う。
「なぁ・・・その、長井っていうのか?由比にたいして挑発的な態度とったやつってのは」
「はい、そうです。本名は長井秀臣で、男です」
「・・・さて、どうやってそいつのことを打ち殺してやろうか」
「そうですね・・・嬲り殺すのもいいですし、拷問するのも楽しそうですねぇ・・・ゆいにゃんにちょっかいをだしたことを後悔させてやるぐらいのおしおきを考案しなければなりませんね・・・」
「ふ・・・ふたりとも怖いよぉ」
「ハッハッハ、なにをいっているんだい?ゆい。これはお兄ちゃんとしての義務だから別に怖くもなんともないだろう?・・・妹にちょっかいをだすくそみたいな男を打ち殺すことは兄の使命だ」
「そうだよぉ?ゆいにゃん。あたしも友達として義務を果たそうとしているだけだよ?かわいいゆいにゃんにちょっかいをだした長井のくそやろうを後悔してもしきれないほどの恐怖のどん底に落としてやることがな・・・」