コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- その48 マシな人間と残念な人間の境界線 ( No.124 )
- 日時: 2011/08/13 00:49
- 名前: とろわ (ID: 1ZQMbD0m)
マリアは店員のところにてくてくと駆け寄り、しばらく話をし始めた。
俺はそれを眺めていたら、どうやら試着をするようで、マリアは試着室の方へ駆けていった。
…俺、無茶苦茶暇だなあ。
なんて思っていると、携帯のバイブが俺のズボンのポケットで小刻みに震えていた。
どうせあの人だろうなと思って取り出してみると、やっぱり変態保険医のメールだった。
嫌な予感しかしなかったが、とりあえず取り出して中身を確認すると、
【いいか、絶対にワンピース姿は撮れよ。撮り逃したら公開で斬首刑だ】
とかいう物騒な内容が書いてあった。
……よく今まで教師という仕事を続けていけたよなあ、この人。
その後にもぞもぞと携帯をしまっていると、隣に見かけた奴がいた。
「…なんでこんなところにいるんだよ、お前」
そいつはどうやら俺に気付いたらしく、至近距離なのに目を細めた。
「誰かと思えば、お前か」
そいつは店内と全く似合わない黒色の地味な服だった。
「んで、どうしてここにいるんだ、麗」
そいつ——麗に俺はそう尋ねると、麗は無表情のまま、
「特に用はない。…まあ、チンピラ共に追いかけられているのだが」
「それって凄く重要な事じゃないんデスカネ」
人の迷惑になることはしてはいけないよ!!
しっかし、麗はすげー他の人と違うから分かりやすいんだよなあ。
メッシュと瞳の色がなんか痛いし(瞳の色は耶麻先輩もだとか言ってはいけない)、凄く不思議ちゃんオーラを放ってるし。
ヤクザうんぬんが無ければマシな奴なんだよなあ…。性格も普通の人よりだと思うし。
「別に心配はいらない。…あんなカス共なんて瞬殺すればいいだけの話だろう?」
…前言撤回、残念な人(確定)でした。
「お前の基準を俺に押し付けないでくれないか?」
俺がそう言っても、麗は軽くスルーした。
最近人に冷たくされる事が多いのですが、何なんでしょうね。
暫くすると、突然麗の表情が険しくなった。
「…どうやら奴らが近づいてきてるみたいだな。僕は屑共を片付けてくる」
「なっ、ちょおっ!!」
俺の事を無視して、麗は走り去ってしまった。
……あいつらが、店員と客に迷惑をかけませんように…。