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その14 ピンチ ( No.19 )
日時: 2011/07/24 21:46
名前: とろわ (ID: 1ZQMbD0m)

俺とマリアは物音のした扉の方に目をやる。
教師とかだったりしたら、俺たちはどうなってしまうのか想像すらできない。
やべえ。ピンチだ。どうしよう。酸素はいってこねえ。
なんか頭がグラグラして、視界がぼやける。
大丈夫かなあ、俺。ここで失神したらかっこわりぃぞ。

なんとか視界が晴れて、やっと音の正体を瞳が捉えた。








終わった。
俺は終わった。いや、俺らは終わった、か。
なんと、その物音の正体は——保険医の、武内龍之介(たけうち りゅうのすけ)。
この学校一、恐ろしい男である。

「貴様等、ここで何をしている」
矢のように鋭く、尖った声を放つ。
俺は顔面真っ青で、マリアも驚愕の表情を浮かべていた。
恐らく、よくて退学、悪くて(恐ろしくていえない)な事をされるはずだ。
だって、外見から怖いし。白衣とか返り血浴びてそうだし。眼鏡怖いし。鬼畜眼鏡。
一番恐怖を覚えるのが、鮮血のような瞳の色であろう。絶対血とか飲んでるよねこの人!!
「サボりなんていい度胸しているじゃないか」
そういうと、先生はにやりとニヒルな笑みを浮かべる。
…こえぇ。
すると、つかつかと先生は俺に近づいてきた。
「!!」
とっさに逃げようとしたが、手首を掴まれ、失敗に終わった。
「貴様がこいつを誘ったのか。カップル仲良く学校デートかぁ?」
「え、いや、そういう訳じゃなくて「言い訳を聞く気は無いな。…今なら痛い目にあわずに済む。早く全部吐け」
やべぇ。
なんか誤解されてるけど、俺、死ぬかもしれない。
冷静に考えると、教師がそんな事いっていいのかとか思うけど、そんな事考えている暇はない。
俺はもう、諦めようと思い、ゆっくりと目を瞑った———



その時。

「!?」
手を握る力が弱まった瞬間、マリアは力づくで俺を先生から解放した。
一瞬、驚いたような表情を浮かべたが、先生はすぐに標的をマリアに変えた。
「ほう、なかなかやるな」
先生はにやりと笑うと、マリアに近づいた。
マリアは先生を睨み、口を開く。
その表情は、凛としていて、男でもかっこいい、と思うほどであった。

「先生、少しは俺の話をきいてくれませんか」